夏の間にロシアに何かあると秋口に国際金融市場に大きなショックが走る。1998年のロシア危機、2008年のリーマンショック。

公開日: : 大井リポート | 

先週ユーロ圏18カ国GDP(4-6月期)が発表された。ドイツ前期比-0.2%、イタリア同-0.2%、フランスも横ばい。ややプラスになった主な国は、英国(同+0.8%)、スペイン(同+0.6%)、ポルトガル(同+0.6%)、オランダ(同+0.5%)。日本(同-6.8%)と比べればマシにみえるが、先進国は軒並み景気が弱い。

米国の同期GDPは前期比+4.0%だったが、1-3月期-2.1%の反動と考えると、潜在成長率が長期的に下方シフトしているという懸念は払拭できない。フィッシャーFRB副議長も11日の講演で労働参加率の低下と成長率の低下について言及し、長期的停滞を警戒している。さらに、米国の人口動態において、戦後の成長を支えたベビーブーマー(1946-64年に生まれた世代)の先頭が65歳を過ぎて次々とリタイヤしている。彼らが年金生活に入り貯蓄を切り崩して生活するのと同時に、世代交代でこれまでの労働生産性が維持できるのかが課題になっている。

さて、ユーロ圏経済にはウクライナ情勢が暗い影を落としている。ロシアの株式と通貨が下げている。対ロシア経済制裁で欧州諸国の足並みが揃っているとはいえないが、スペインやギリシアが農産物をロシアに輸出できずに痛手を受け、ドイツにおいては1-5月に対ロシア輸出高は前年比-15%と落ち込んでいる。

筆者は、夏の間にロシアに何かあると秋口に国際金融市場に大きなショックが走るという経験を2度もしている。1998年のロシア危機、2008年のリーマンショックがそのパターンだ。

リーマンショックの直前、同年8月7日に南オセチア地区にグルジア軍が攻撃し、その翌日、8月8日北京オリンピック開催の日に、ロシア海軍がグルジア沿岸を封鎖し、地上軍を投入し、激しい戦闘が行われた。為替市場では8日からユーロとロシアルーブルが急落し、円高となった。やがてこの影響は米国市場に及び、その前年からのサブプライムローン問題と相まって大きな危機へと展開していった。さらに、原油価格がこの年の7月3日に最高値(バレル当り145.3ドル)を付け、その後大きく急落し、金価格は逆に夏場から上昇に転じた。

(NYMEX WTI価格の推移について以下のサイトを参照に)  http://www.noe.jx-group.co.jp/binran/part01/chapter03/section02.html

 

gold

 

歴史は繰り返すのだろうか。日米欧の対ロシア経済制裁が続き、いぜんとして解決策が見出せない、クルド人とイスラム過激派組織ISISとの戦いがイラク全土を覆う、イスラエルとパレスチナの地域紛争が拡大するなど、各地でこうした地政学リスクが長引く可能性がある。それでも、金融市場は平和的解決を期待し、そうしたリスクとは無関係に上昇を続けるのか。夏の終わりから秋口にかけてマーケットは、米国の早期利上げを睨んでのグローバルマネーの動きを見極めるもようだ。

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