通貨体制の変わるとき。中央銀行の利上げ観測により起きているドル高とポンド安。

公開日: : 大井リポート | 

ドル高の要因

今週の注目は、16−17日のFOMC(米連銀の政策決定会議)で発表される2017年までの経済・政策金利の見通しだ。すでに、FRB(米国連邦準備銀行)の利上げ観測から、この1ヶ月グローバルマネーは米国へと吸い寄せられている。

日本での関心は円安ドル高であるが、EUと米国の財政赤字は減少傾向にあるのに対して、日本の赤字は膨らむ一方だ。米国が財政健全化に向かうと米国債の発行額は減り、需給関係から米国債への価値上昇が見込まれる。米国金利上昇と米国債価格上昇の見込みからドル高に動いていると考えられる。

もう一つの注目点は、米国の長期金利の動向である。短期金利は2%以上の上昇がなければ実体経済には大きなインパクトがないといわれている。

しかし、長期金利は住宅ローンや自動車ローンを始め信用市場に大きなインパクトがある。長期金利が上昇すれば、住宅や自動車、トラックの売上は減少し、個人消費も伸び悩み、経済成長も鈍化する。

ところが、米国債への強い需要から長期金利はそれほど上昇せず、長短金利差(スプレッド)が縮小し、イールド曲線フラット化で金融仲介業者の利益を圧迫するだろう。

さらに、FRBが気にかける雇用環境について、米国の一般の人たちは状況が良くなっているとは感じていない。新卒は相変わらず就職難だし、いったん離職すると再就職は難しい。加えて、最近は税金の高さが悩みになっている。

地政学リスクもまた、引き続き注目である。オバマ大統領はシリアとイラクでイスラム国(ISIS)への空爆を拡大し、ケリー国務長官は「イスラム国と戦争状態にある」と公言している。イスラム国への徹底攻撃を呼びかけるものの、湾岸諸国やサウジアラビアなど中東同盟諸国に地上戦部隊と戦費負担を期待している。金融筋ではもっぱら「出口までの戦略を描けない戦争」に誰がどのように戦費を負担するのかが議論されている。

それでは、いつまで円安ドル高が続くのか。来年初頭までは、円安でも景気が回復しない結果が明白になるだろう。

英国 苦難のとき

シリアで人道的援助を行っていた英国人デイビッド・ヘインズ氏は、イスラム国に拉致され、斬首という最も非人道的で残虐なやり方で処刑され、キャメロン首相は「彼らはイスラム教徒ではない、モンスター(怪物)だ」と述べ、必ず正義の場で裁くと半ば宣戦布告した。

斬首刑は米国のジャーナリスト、そしてさらなる英国人も犠牲になろうとしている。このままでは犠牲者は増え、しかも、カリフ制を打ち立てようとするイスラム国家は、国家としての明確な統治機構すらない「ならず者集団」で、いつまでも野放しにするわけにはいくまい。

しかし、英国にとってはタイミングが悪い。18日にスコットランドが分離独立すれば英国の徴税権は及ばず、戦費調達は困難だ。それどころか、英国中央銀行(BOE)の利上げ観測とスコットランド独立問題が重なり、6月ころから英国ポンド(GBP)は売られ、特にこの数週間は独立の可能性の高まりから大量の売りとなっている。

 

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