米大統領選挙とミレニアル世代の社会変革

公開日: : 大井リポート | 

lgi01a201406240100

米国大統領選挙では、州ごとに民主・共和党の候補者指名獲得戦が繰り広げられている。民主党では、ヒラリー・クリントン対バーニー・サンダーズ、そして、共和党では、ドナルド・トランプ対テッド・クルーズの戦いとなっている。

日本では、サンダーズやトランプといった候補者がなぜそれほど勢いづいているのかよく理解できない。サンダーズ氏は74歳、バーモント州出身のユダヤ人で、自らを「社会民主主義者」と位置づけている。トランプ氏は69歳、一代で成り上がった不動産王で、メディアへの派手な露出や言動で話題に欠かない。両者ともに強烈な個性の持ち主で、従来の政治的エスタブリッシュメントに属さないという共通点がある。

一体、米国国内の政治情勢はどうなっているのだろうか。筆者は、21世紀のこれからの米国社会を担う「ミレニアル世代」の動向から目が離せない。この世代は、1980年代から2000年代初頭に生まれた17歳から30歳までの若者である。この若い世代は、民主党の候補予選投票で、男女共に8割が反クリントン票を投じたのだ。理由は、クリントン氏がかつて上院議員としてイラク戦争容認に票を投じたこと。サンダーズ氏はこれには反対票を投じ、また、全公立大学の無料化と国民皆保険運営を主張しており、若い世代の支持を取り付けている。

ビル・クリントン大統領時代に労働長官を務めたロバート・ライシュ氏は、若者の動きは格差拡大に起因していると論じている。リーマンショック後、貧富の格差は拡大し、実質賃金も減少し、平均的世帯の収入はインフレ調整後で16年前と比べて低くなっている。金融危機を引き起こした投資銀行などの大手金融機関は政府の手厚い救済措置をうけ、CEOの年収は増え続けている。権力は富める者に集中し、2千億円もの資金を必要とする大統領選挙において、わずか4百人のスーパーリッチな人々が選挙資金の3分の1を牛耳っているという。政治もメディアも浮き世離れしている。現実との乖離が甚だしいのだ。

参考記事 Robert Reich, “The End of the Establishment”
http://www.realclearpolitics.com/articles/2016/02/23/the_end_of_the_establishment_129755.html

世の不正義に怒る若い世代は、卒業と同時に、就職難と奨学金の返済に四苦八苦しながらも、独立志向が強く、小さな政府を好む傾向がある。彼ら望む社会変革がどのように起こるのか。7月には両党の大統領候補者が決定する。クリントン、トランプいずれの候補も嫌日的な模様だ。クリントン氏は既に、米の国益のために円高・元高を求めている。

今週の大井リポートは2本立てです!

国際金融市場、日本市場の見通し

国際金融市場、日本市場の見通し

関連記事

no image

避けられた戦争; パーセプション・ギャップの積み重ねが平和を壊す

 本日は終戦記念日にあたり、緊急特集で小松啓一郎先生とのインタビュー記事を配信します。歴史認識の問題

記事を読む

トランプ新秩序。大きな4つの政策

先週、米国大統領選挙の投票結果を見直す動議がウィスコンシン州で出され、ペンシルベニア州、ミシガン州

記事を読む

ギリシャと中国 高まる金利変動リスク

金融市場は、ギリシャ危機と中国株式市場のバブル破綻への懸念で揺れ動いている。CNBCキャスターのロン

記事を読む

八月危機説を検証する

 八月には国際金融市場に危機が起りやすい。1971年八月のニクソンショックでは、米ドルが金との兌換を

記事を読む

no image

さすがにゲッコーはケッコー!

 リビア情勢が緊迫している。リビアでは国民の教育レベルが低く、原油の埋蔵量があってもその精製など多く

記事を読む

黒田イールドカーブ・コントロールでGPIFなどの大手機関投資家はますます運用難に

9月20-21日に、FRBと日銀が同時期に金融政策決定会合を開いた。FRBは利上げを見送り、日銀はこ

記事を読む

トランプ最初の100日で見えてきた「戦後レジームの終焉」

 3月半ばは、トランプ政権の主要閣僚らが世界を飛び回る外交に多忙を極めた週だった。ティラーソン国務長

記事を読む

no image

フォークランドの領有権

私の妹は米国マサチューセッツ州ボストン郊外に住んでいる。 今月末に一時帰国する予定だが、「この時期

記事を読む

EU経済統一決壊、巻き戻しと混沌(カオス)へ

   金曜午後に、英国のEU残留が希望的観測にすぎなかったことが判明した。  トレーダー

記事を読む

どこまで続くか 円安・株高

年初から外国人投資家が1兆円を超えて日本株を買い越し、国内個人投資家が売り越している。特に、外国人投

記事を読む

じぶんちポートフォリオ ヘッジファンドニュースレター

無料メルマガ

GSニュースメルマガ

週1回、大井幸子厳選の最新国際金融・経済情報が届く無料メルマガです。

登録はこちらから メールアドレスを入力してお申込みください。

follow us in feedly rss
  • GSニュースメルマガ

    週1回、大井幸子厳選の最新国際金融・経済情報が届く無料メルマガです。

    登録はこちらから メールアドレスを入力してお申込みください。

PAGE TOP ↑