原油とドル、世界の景気と相場に影響

公開日: : 大井リポート | 

今年1月27日の大井リポートで、原油価格が「炭鉱のカナリア」であるとコメントした。2014 年半ばにバレル当り100ドルの高値を付けた後、原油安に転じ、「逆オイルショック」の今、原油価格は、見通しの悪い世界景気や相場動向を見る上で参考になる。

 現在(4月13日)、原油価格WTIは42ドル近くまで上昇し、12日の米国株式相場も押し上げた。来週、ロシアとサウジアラビア、ベネズエラ、その他の産油国がドーハで会合し、原油産出量凍結に向けて動き出しそうだ。米国のシェールオイルが減少していることから、原油安に歯止めをかけるのが狙いである。

 ただし、産油国全体が減産合意に向けて動くかどうかは不透明である。産出量を経済制裁前のレベルまで戻し、自国経済を早く立て直したいイラン。そして、産出量を最高レベルまで引き上げたいイラク。イランとイラクが交渉にどう臨むかが注目される。

 では、原油価格が上昇に転じれば、世界の景気は好転するだろうか。今週、IMF は世界の経済成長率の見通しを3.2%に引き下げたばかりである。3ヶ月で二度目の引き下げである。特に、IMFは、日本では消費税増税が重しとなり、来年はマイナス成長になるだろうと警告している。

 また、原油高に転じれば、世界の相場は上向くだろうか。それほど単純ではない。今年年明けから2月前半まで、原油安と相場下落とが重なり、マーケットはリスク回避とボラティリティ上昇のダブルパンチを受けた。そして、3月に原油安が下げ止まるとの見方から相場はやや一服し、株式相場もプラスに転じた。しかし、4月の第一週では下げに転じている。新興国のブラジルや中国のリスクは依然として高い。

 今後は、ワシントンで開催されるG20会合で、各国財相や中央銀行総裁が、これまでの金融緩和策をどうハンドリングしていくのかが注目点となるだろう。日本ではあまり報道されていないが、2月末に上海で開催されたG20では、米国が中国と日本を「通貨安戦争を仕掛けている」と非難した。特に米国は、日銀のマイナス金利政策を攻撃した。

 さらに日本にとって追い打ちをかけたのが「パナマ文書」である。タックスヘイブンのパナマに世界の富豪や指導者の相当の資金が隠されているというニュースが流れると、安全資産とされる円にグローバルマネーが流入したのである。こうした状況からも、円高局面・日本株安への圧力が大きいと見込まれる。

 ところで、ファクタ3月号記事「ゆうちょも日本株“爆買”、安倍政権援護の株価PKO。マイナス金利下の運用難で、4月に“クジラ買い”出動へ」は、現実味を帯びている。同記事によれば、ゆうちょ銀行が運用資産に占める株式比率を5%まで引き上げるとみられ、そうなれば新たに6兆5千億円もの爆買いが入るという。当然、政権もそれを期待している。

 さらにもう一頭のクジラが、GPIF以外の公的年金、地方公務員共済組合連合会など3共済である。

(日経記事)http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99596900T10C16A4000000/?n_cid=NMAIL002

 ちょうど下げたところで買えば、将来のキャピタルゲインも期待できそうだが、「池の中のクジラども(日銀、GPIF、ゆうちょ銀行ら)」が買い占める日本株とは、株式市場とは官製以外の何なのだろうか?

 今後、4月末のFRBと日銀の政策決定会議に向けて、どのような調整が行われるのか見守りたい。

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