イラク情勢をめぐる国際金融市場の動向、どうなる原油価格?

公開日: : 大井リポート | 

 

イラクやウクライナ情勢の背後には資源エネルギーの利権があり、必ず中国の姿が見えてきます。紛争のウラには資金と資源をどう調達するか、原油・資源の利権、国際金融市場の取引が見えてきます。

 

FT 6/19記事中国政府系ファンドが海外投資で損失

“CIC under fire over losses on foreign bets: Wealth fund accused of ‘mismanagement’”

CIC(China Investment Corporation)は資産総額6500億ドル、世界で第四の規模を持つ中国政府系ファンドで、BlackstoneやMorgan Stanleyに積極的に投資しています。監査の結果、2000億ドルの海外投資や12の海外案件などで「誤った管理」があり、損失が出ていること、そして、国内の不動産関連投資においてファンドが保有する金融機関が査定なしの投資を行ったなどと指摘されています。さらにCICに加え、Bank of China、Agricultural Development Bankといった政府系金融機関にも監査が入り、管理の不正が指摘されています。中国は自由化と金融改革へ向かうのでしょうか?

 

FT 6/20記事緊迫するイラク情勢

“Mosul suffers fuel and power shortages as Isis grip tightens”,

“US-Shia action would be dream come true for Sunni jihadists”

FT記事では、ISIS(イスラム教過激派の国際テロ組織「イラク・シリアのイスラム国」)の勢力が首都バグダットに迫り、今にもイラクで内戦が始まりそうな様子です。BBCニュースでも北部の都市モスルが陥落し、その緊張感が伝わってきます。シリアのような内戦になれば、当然原油価格が上昇するのではないかと懸念があります。イラクは一日340万バレルの産出量を誇るOPECで第二位の産油国です。

2003年3月に米国がテロとの戦いを掲げ、イラクに侵攻し、スンニ派のフセイン大統領を抹殺し、シーア派のマリキ政権を樹立しました。しかし、2011年末に米軍が撤退し、真空状態となったところにスンニ派勢力が結集し、アルカイダ系ISISがシリア内戦に参戦し、イラクになだれ込みました。

マリキ氏は統治能力に欠けた人物として米国にとって無用となり、国家分裂の危機に直面しています。

 

Forbes on line 6/14 中国がマリキ政権を支持?

“If Anyone Bombs Iraq, Shouldn’t It Be China?” Gordon G. Chang, Contributor

イラク混乱で米国は軍事介入に消極的ですが、中国がマリキ政権を支持するという内容です。中国は平均150万バレル/日(生産量の約半分)をイラクから輸入しており、原油のイラクへの依存度が、シェール産出国の米国よりも遥かに高いのです。

 

Quick日経アンケート6/19 「原油高をどうする」

藤澤治氏(オイルエコノミスト、FEアソシエイツ代表、元サウジペトロリアム)は実に現実的で、米国の消極的な軍事介入や、国家分裂があるとしても、ファンダメンタルズからみると原油価格が急騰することはないという予想です。以下、引用します。

「原油価格は今後落ち着く。イラン南部の生産や輸出に影響は出ていない。(中略)武装勢力が占拠している北部は武装勢力と同じスンニ派中心だが、南部はシーア派が多く、武装勢力も簡単には侵攻できない、さらに米国とイラク政府が協力し、バグダッドや南部への侵攻を阻止するだろう。万が一、イラク内戦が激化しても、サウジアラビアやその他の国の増産で対処できるため、原油相場の上値も限定的だろう。(中略)やや気がかりなのは、クルド自治州の独立問題。北部にある油田地帯キルキークで過激派とクルド民族との衝突が激しくなっている。イスラムの宗派対決とクルド民族問題が複雑に絡み合っているため、事態の長期化は避けられず、収束には最低1年以上はかかるのではないか。」

藤澤氏に直接伺ったところ「原油価格は今のプレミアム程度の値上がりで今後は急騰することはない。また日本国内のガソリン価格については、現在の高値は国内の製油所が2年に1度のメンテナンス期に入っており、5、6月と製油所の一部が稼働停止しているために在庫の逼迫感から値上がりしている。今後もイラク情勢の影響で値上がりすることはない。」

 

今後の原油価格見通しについて専門家の予想がまとめてあります。

詳しい記事  http://kabu1223.blog.fc2.com/blog-entry-3463.html

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