100年に1度の金融危機 QEバブル破綻寸前か! ~山広恒夫さんとの対談~

今回もFRBウォッチャーとして著名な山広恒夫さんとの対談です。
山広さんは、ワシントンD.C.在住でブルームバーグ記者として活躍されています。
『2014年、
アメリカ発 暴走する「金融緩和バブル」崩壊が日本を襲う』
(中経出版)を出版され、米国発の金融危機を警告しています。

大井: 2014年明けてから、金融市場では潮の目が変わりました。国際政治、そして国際金融において、米国の影響力が後退している様子が明らかです。

胴元だった親分が気弱になっていく姿を見て、子分たちや敵方がこの隙をついて勢力を拡大しようと小競り合いを起こすようなもので、同時多発的な戦闘や金融危機が起こりやすい環境です。

私は全体的にとても弱気なのです。山広さん、米国経済はいかがでしょうか?

山広: まず、米国の実体経済については、転換点に接近しているように見えます。

下のチャートは、2月28日発表の第4四半期の米実質GDPから在庫投資と貿易赤字の変動を除いた実質国内最終需要の前期比年率(単位%)です。

ご覧のように、第4四半期は1.2%増に落ちてきました。前回の景気後退に陥る直前の水準です。赤の縦シャドウは景気後退期です。1947年から下降トレンドをたどってきました。現在の1.2%増前後から景気後退に陥るとすると、数年のリセッション経て、拡大期に転じても成長率は1%前後となるようなイメージですね。今回のバブル崩壊の調整を経て新たな景気循環が始まると、景色は大きく変わっているかもしれません。


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大井: 山広さんはデータをしっかり使って示して下さるのですが、私はウクライナ・ショックやタイ、ベネズエラなど各地の金融市場で多くの火種があり、何がいつトリガーになるのか、大きな不安を感じています。

例えば、中国は2月28日に大幅な元切り下げを行いました。その前の12月には米国債保有を大量に(480億ドル)を減らしています。これは米国債10年の利回りが跳ね上がるのを恐れたからだと言われています。しかし、シャドーバンキングの”bloodbath”(大量虐殺=多くの破綻)に備えるためだとも考えられます。
いずれにしても、世界の市場に大きな影響があります。4月には日本で消費税増税となりますし、世界の株価はどうなりますか?特に米国についてはどのような見通しでしょうか?


S&Pの鳥瞰図


山広: S&Pの鳥瞰図をご覧下さい。縦のシャドウは景気後退期です。95 年初に引いた赤の縦線は株価の本格的な上昇が始まった基点です。このほぼ2年後の96年12月5日に、グリーンスパン議長の「根拠なき熱狂」 発言がありました。
今回を含め三つの山が屹立していますが、95年初を基点とすると初めのバブルは5年でピークアウト。そして、そのボトム( 2002年10月)を次のバブルの基点とすると、同じく5年でピークアウトしています。そのバブル崩壊後のボトムは09年3月ですから、ことしの3月でちょうど5年が経過します。

今回は異常な高みまで上昇しており、 下落率・幅とも過去2回を上回る確率が高いといえます。2回目のバブルの基点とその崩壊後のボトムを結ぶネックライン(紫色の線)は右肩下がりになっており、ここまで落下しただけでも60%近い下落率になります。

次に訪れる株価の暴落は、90年代から生成が始まった三山の三つ目の山頂からの落下であり、三尊天井が形成されることになります。この三尊天井は過去1世紀をさかのぼってみても最大級かつ異様な高みに達しており、ここからの崩落は数世紀にわたる米国経済の長期成長波動の終焉ととらえることができるでしょう。

こうした経済のピークアウトの予兆は既に政治面にも明確に現れています。
大井さんが「米国の覇権国としてのリーダシップに揺らぎが見られる」とご指摘されていらっしゃるように、米国は対外政治でも弱体化しており、これは経済の弱体化と表裏一体のものです。
そして次回の株価暴落を伴う経済のピークアウトは覇権国としての米国の地位に決定的な打撃を加えることになりそうです。


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大井: ぞっとしますね。しかし、リアリストとして現実を受け止めなければなりません。山広さんは、著書のなかでも「世紀の三尊天井」を指摘されていますね。確かに、この百年のダウ平均のチャート(1913年~現在)を見ると、実感します。


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山広: このチャートは、動きを明確にするためインフレを除いた実質ベースです。また、過去の低い株価水準の 変化率と近年の高い株価水準の変化率を等しく目視できるように対数表 を使用しております。



大井: 貴重なデータ、そしてコメントを本当に有り難うございます。

チャート出所:ブルームバーグ Bloomberg

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