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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

米国経済は堅調 金融市場は年末の利益確定に動く

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先週、ニューヨーク市に出張した。金曜の午後から街中で大渋滞が発生した。クリスマスの買い物や観光・観劇、パーティーで人と車がマンハッタンに流入したためだ。

週末に入るとマンハッタンには人がますます増え、街中をサンタクロースの格好をした若者たちが練り歩き、クリスマス・ムードをもりあげている。

夕方、ロックフェラーセンターの巨大クリスマスツリーにイルミネーションがともるころ、一帯は人ごみで身動きが取れないほど込み合っていた。

デパートやレストランでは家族連れで混雑し、みな楽しげで表情が明るい。米国の個人消費も小売りもまずまずのように見える。

 

デパートも見てみた。流行が変わりつつある。ネクタイの幅はやや狭めで、マンハッタンではオーガニック食品の店やカフェが増え、ヨーグルト専門店も流行っている。

グランドセントラル駅のフード・コートや大手薬局チェーンのウォルグリーンにはケールのサラダや寿司・のり巻が並んでいる。このところ健康志向が強く、米国人の食生活には改善がみられるようだ。

 

さて、金融市場がこうした実体経済を反映して動いているのかというとそうでもない。年末の〆にかけて投資家は利益確定に忙しいし、世界中のさまざまなリスク要因が消えてなくなることはない。

ギリシャ国債フォルト懸念、原油価格の急落、イラクやシリアの地政学リスク、そして、新興国売りの圧力といった問題は相変わらずで、すぐに解決策は見当たらない。

こうしたリスク要因の影響をもろに受けているのがロシアで、ルーブル安とインフレとで国民経済が大きな打撃を受けている。

 

米国経済に関する記事では、最近ROW(Rest of the World 米国以外の世界)という単語をよく見る。

日本はリセッションに入り、欧州の成長は下方修正され、米国だけが景気が堅調で、これからも世界経済を牽引して行くという自信を示している。

 

もちろん、米国国内には拡大する貧富の格差や人種間の対立など様々な問題がある。

その一方で、マンハッタンの家賃が高すぎて大都会を去った若者たちが住みやすい中西部の中小都市に移り、起業し、ソーホーのようなカフェで遅くまで熱っぽく話し合っている。

シェールオイル・マネーが雇用を増やし、環境は良くなり、昨年7月に財政破たんしたデトロイトでさえ、不動産開発業者がめぼしい物件を底値で買っているという。そうした米国のダイナミズムが経済成長を底から支えている。

 

もう一点、米国には慈善活動によって社会奉仕にお金を回す仕組がある。

メトロポリタン歌劇場の演奏会に行くと、プログラムに劇場の芸術活動を支える人々の寄付リストが載っている。

筆頭はテキサスの石油富豪バース夫妻で、年5千万ドル(約60億円)を寄付し続けている。

芸術家の育成や教育にもお金が回っている。こうした寄付のおかげで、私たち一般市民も超一流の芸術に親しむことができるし、世界中の人たちがメトロポリタン・オペラのファンになっている。

さて、日本では総選挙の結果、安倍政権が長期安定化し、一服した投資マネーは年末利益確定売りで円ショートポジションを買い戻すためやや円高が予想される

 

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