流動化する世界、中国の不動産バブル崩壊、そして信用崩壊へ
大型台風14号が日本列島を縦断するなか、エリザベス女王の荘厳な国葬の模様が生中継されました。よほど準備を重ねたのか一糸乱れぬ式典を、世界の人々が見守ったことでしょう。
私は今年の終戦記念日に、安倍元総理暗殺も重ねて「日本の戦後レジーム終焉」を感じ、そのことを皆さまにお伝えしました。(https://globalstream-news.com/220814-2/)
そして、今回の旧大英帝国の国家元首の国葬で鳴り響いた鐘の音は、これまでの秩序が終わり、新しい世界秩序がやって来る(リセットが起こる!)というシグナルを世界に示したものと感じ取っています。すでに現英連邦カナダ、ニュージーランド、豪が独自の国家元首を立て共和制への移行を検討していると報じられています。
じっさい、エリザベス女王が9月8日死去されてすぐに、中露の動きが活発化しました。習近平は14日にカザフスタンを訪問、15-16日にはウズベキスタンでプーチンと会合しました。両首脳は、ウクライナ侵攻開始(2月24日)の前、2月2日に北京で会い、連携を強めた経緯があります。じっさい両国の通貨(人民元とルーブル)は米ドル支配から離脱への動きを強めています。一方、中露関係の不和が囁かれ、長引くウクライナ戦争の行方にも影響を与えそうです。
その中国についてですが、10月16日から共産党大会が始まります。習近平は第2の毛沢東として完全な権力掌握を目指し、旧勢力の経済基盤となっていた不動産開発やIT企業を標的にしてきました。また、上海をはじめとする主要都市を封鎖し、旧勢力の経済活動を抑え込んできました。
そして、中国不動産バブル破綻は深刻な状況にあります。ブルームバーグ(9/19記事)によると、中国の銀行業界52兆ドルのうち、不動産開発融資の30%近くが不良債権化していることが明らかになっています。大規模なバブル崩壊寸前です。おそらく、日本の80年代のバブル崩壊の数十倍のインパクトがあるかもしれません。
中国人民銀行は利下げでバブル崩壊を和らげようとしていますが、国際金融筋は人民元切り下げ間近とみています。
マクロ的に見ると、中国の不動産バブルのみならず、国民経済におけるマネークリエーション(信用創造)そのものが崩壊すると見るべきでしょう。通常の経済発展において、自国のマネー(通貨供給)が賢く生産性向上に向けて投下されない限り、持続的な経済成長は起こりません。例えば、新規事業や技術革新のためにリスクマネーが設備投資や人的資源に投下され、産業における生産性が向上すれば、企業はリターンを生み出し、経済は成長することができます。しかし、信用創造のプロセスが破壊されれば、経済は立ち行かなくなります。
今、世界の主要国が利上げや金融引き締めに政策の舵を切る中、日本と中国は景気をよくしようと緩和策を続け、自国の市場にマネーを供給しています。しかし、供給されたマネーが生産性向上に向かわずに、資産価値を膨らます目的で株や不動産に投資されれば、必ず資産バブルが発生します。そして、バブル破綻が起こると資産価値が一気に暴落し、信用収縮が起こり、実体経済が冷え込み、失業が増え、不況に陥ります。
日本と異なり、中国のバブル破綻は政治闘争の一環であり、意図的であるため、破綻処理においても、どこまで事態が悪化するのか、どこで歯止めがかかるのか、経済合理性では予想もできず、まったく不透明です。
中国の信用崩壊は、単なる金融・経済の崩壊のみならず、政治や外交においても国家としての信用を失墜させるでしょう。マルクス主義流に言えば、「下部構造(経済)が崩壊するとき、上部構造(政治や外交)も崩壊する」し、そうした瓦礫の山の上に習主席の目指す「中華の夢」を打ち立てることができるのか?
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