「自由な資本」と国富の追求:DOGE「税金ドロボー」を暴露、ついに出たトランプSWF構想
1月20日に第2次トランプ政権が始まりました。今回のトランプ政権は前回の猛反省の上に立って、念入りにプランを練り、有能で愛国心に満ちた主要閣僚を揃え、志を一つにして「チームMAGA( Make America Great Again)」を推し進める強力な政権です。そして、そのスピードは生成AI時代にふわしく「神速」です。
「チームMAGA」の目標は、「アメリカ建国250年」を迎える2026年7月4日までに、米国をFounding Fathersの理念に戻って再構築することです。独立・建国から今までずっと米国は移民の国です。多くの米国人は、自分たちの祖先は「専制君主や独裁国家から解放され自由に生きるために」新大陸を目指したのであって、バイデン政権下の極左思想を守ために命懸けでやってきたわけではないと、考えています。トランプ政権はそうした建国の基本に戻り、そこからGolden Age「黄金時代」を迎えるという筋道を決めています。それに国民が賛同し、統治形態はその道筋を歩み始めています。
では再構築のためには、連邦国家の何から、どこから手をつけるか?重要なのはカネの流れ”Follow the Money”の透明化と開示です。国民の税金を吸い上げる連邦政府、そのカネはどこから来てどこへ行くのか? これを国民の目の前に示し、国民の政府への信頼を取り戻すことから始めなければ。
今イーロンマスクの率いる政府効率化省(通称DOGE)が、連邦政府予算がどのようにいくら使われたのか、その実態をX(旧ツイッター)アカウント上でどんどん明らかにしています。国民の税金がどこに支払われたか、それが国民のために使われたのか、あるいは特定の利権集団や他国のテロリストに流れ、国民の利益に反する結果となっているのか?この辺りの実情が全て透明化してきています。
こうした政府財政支出の細かい行き先をまとめ上げるのは膨大な作業です。それを極めて短期間で効率的に実施できた背景には巨大IT企業のテクノロジーのサポートがあります。MAGAの目的に従い、国民の幸福度を高めるためには税金が正しく使われているのかどうかをチェックするためにはITや生成AIは有効な手段、ツールです。トランプ就任式に巨大IT企業(所謂Magnificent Seven)のCEOがずらっと並んでいるシーンが思い起こされます。彼らCEOはトランプ政権への忠誠を誓ったのです。
このようにDOGEは「税金ドロボー」を暴き出し、トランプ政権はドロボーを国民の前に引きずり出して、追い出しています。この作業のトップにいるトランプもイーロンマスクも暗殺予告を受け、命懸けです。米国内ではまさに「戦争状態」です。
その一例が最近話題のUSAID(国際開発局)です。USAIDは1961年J.F.ケネディ大統領が人道的目的を掲げて作った組織で、多くのアメリカの若者を非軍事的海外援助活動に導きました。理想主義者やリベラルな思想の人々にとってUSAIDは開発途上国の人道支援を行う素晴らしい組織でした。私もかつてはそうした良い印象を持っていました。しかし、オバマ-バイデン民主党政権下で、この組織の内情はすっかり変わっていました。DOGEのおかげで、極左の特殊なイデオロギーを実現するプログラム(南米でのトランスジェンダーのプロモーション)やテロ組織への資金提供、武漢研究所と関係する機関への資金提供など組織の実態が明らかになったのです。USAIDはすでに閉鎖されました。
以上、”Follow the Money”による「税金ドロボー」退治の進展をみてきました。トランプ新政策では、国益のためにいかにおカネを創出するかという点においてもクリエイティブな動きがあります。それが米国版「国富ファンド」です。
ブルームバーグ記事によると、米国国際開発金融公社(DFC)を「政府系ファンド(SWF)」に活用し、そこにウォール街から資金を呼び込む計画で、運用アドバイザー候補者も絞られているようです。新たなSWFは投資資金を運用し、例えばグリーンランド買収など米国にとって戦略的に重要な地域に投資を行う予定です。
ブルームバーグ記事(1/18付):https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-17/SQ8ZMKDWX2PS00?srnd=cojp-v2
トランプ政権の主要閣僚はトランプ大統領をはじめ、JDヴァンス副大統領、ベッセント財務長官、イーロンマスク、ラトニック商務長官など多くが金融界やベンチャーで成功したビリオネアです。彼らは自分の力で富を築き、国富に貢献した実力者たちで、「国家金融資本主義」の権化というか、資本主義政権の最高の担い手と言えます。
じつは日本でもかつて「日本国SWF」が盛り上がったことがありました。私も小原篤次著『政府系ファンド巨大マネーの真実:なぜ新興国家が世界を席巻するのか』(2009年)を興味深く読みましたし、日本版SWFの可能性を求めて金融界の友人たちと勉強会を数年くらい開催しました。その間に武蔵野大学政治経済研究所の研究員として論文をいくつか書いて、勉強会の成果と論文をまとめて2013年に『国富倍増 日本国富ファンド:グローバル金融資本主義の政治経済学』を出版しました。
ちょうど2013年に第2次安倍政権が発足しました。私の『国富倍増』を読んでくれた安倍首相と親しいある弁護士さんが「この本はぜひ安倍さんにも読ませよう」と言って2013年夏のある日私を官邸に連れて行ってくれました。私が官邸に安倍さんを訪ねたのはその時が最後です。私は本を手渡して、主旨を伝えました。が、安倍さんは「国富ファンド」の「ファンド」という言葉に反応すると、「経済の問題は・・・」と部屋の隅に控えていた筆頭首相秘書官のIさんを呼んで、彼に検討するようにと言い渡して我々の話が終わりました。
I秘書官はさっそく出身の経産省の子分たちを呼んで、私たちは「国富ファンド」の意義等について省内で数ヶ月くらいセミナーをすることになりました。その成果はというと、なんと経産官僚たちは「官民ファンド」という形で自分たちの利権の巣をいくつも作り始めました。さらに「官民ファンド」は経産省のみならず、国交省や文部科学省など他の省にも拡大しました。今彼らの官民ファンドはどうなったかというと、その実態は何兆円もの税金の無駄遣いになっています。私は今更ながら、日本は骨の髄まで「家産制官僚国家」、官僚主導の「国家統制経済」なのだと、官僚たちの悪知恵には呆れました。
日本政府は税金の無駄遣いで、生産的な投資にカネが回らない。しかも様々な岩盤規制で縛られ、利権にしがみついている政官財が揺るぎないネットワークを形成し、メディアをもコントロールしている。財務省は常に「増税」で国民からむしり取ることしか策がない。政治家は巨大な利権やマネーの前では無力で、国益を語れず、国民を見て政治ができない。目下の日本は絶望的である。こんなふうに私は感じています。
生産性向上にカネが回らない・・・「自由な資本と国富倍増」のためにはまず、日本版DOGEをまずやるべきでしょう。石破首相にその覚悟があるか??
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