グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

記念すべき8月15日:トランプ・プーチン会談で世界は変わる、日本は変われるか?

 昨日の8月15日は、日本では戦後80年の「終戦記念日」。石破首相の「80年談話」は見送られました。一方、日本の外では新しい世界秩序の構築に向けたトランプ・プーチンの米露トップ会談に注目が集まりました。

 先ほど16日の朝、コーヒー片手にブルームバーグTVを見ると、ちょうどアンカレッジでトランプ・プーチン両大統領による記者会見が行われるところでした。

 この原稿を書いている東京の現在時刻は、8月16日朝の9時、アンカレッジの現地時間で15日16時です。両大統領は2時間半にわたる会談を終えて、日本時間の7時45分頃からライブで記者会見を行いました。記者との質疑応答はなく、また会談について両大統領は相互の信頼に基づいた「大変生産的な成果があった」と評価しました。が、「まだ細かい交渉が続く」と、中間報告のような形で終わりました。

動画でライブをご覧になれます↓

https://www.wsj.com/livecoverage/trump-putin-alaska-summit?mod=djemalertNEWS

 会談後にトランプ大統領はゼレンスキー氏やNATO各国へ電話で連絡をしているようです。また実務レベルでは米露の交渉は続いています。

 現時点で見えてくる会談後に起こりうる可能性(%)について、ブルームバーグ(Market Liveチーム)がアンケートをとり、以下のようにまとめています。

  • 会談の成果は破綻になる 10.4%
  • ウクライナ停戦の機運は高まるが、ウクライナが停戦拒否 32.2%
  • 状況は変わらず 39.6%
  • 停戦の機運が高まり、停戦に向けた交渉が続く 15.6%
  • 今後の平和交渉の枠組みが固まる 2.2%
(Zero Hedgeより引用)

 ざっくり見ると、現状維持かやや悲観的なトーンが強いようです。私は個人的には、反グローバリストのトップ2(米露)がこの上なく接近し、信頼を強め、平和に向けた利害調整、すなわち「ビジネス・ディール」をまとめ上げようとした意欲と成果を示したと思います。両大統領には「ビジネス・ディール」の合理性に則り、相互に意思疎通を交わし、理解し合っています。

 記者会見では、最初にプーチン氏が発言し、原稿に基づき、アラスカをめぐる歴史について語り、最後には「前大統領(バイデン)が始めたウクライナ戦争、トランプ氏が大統領であれば戦争は起こっていなかったはずだ」と明言しました。この部分の発言は原稿にはなかったように見えます。そして、トランプ氏は原稿なしで、率直な発言をしました。両者は互いに相手への感謝を述べ、友好的な雰囲気で会見は終わりました。

 明らかに世界秩序は米露の「ビジネス・ディール」によって大きく変わろうとしています。

 バイデン政権の下で米グローバリスト利権集団と中共と協力してきた自公政権は、明らかに「蚊帳の外」です。下手すると日本は、米露のディールから弾かれたグローバリストたちの最後の「たまり場」になります。そうなれば気づいた時には、土地も資源もサイレント・インベージョンで彼らの手に渡り、国民は重税に苦しむことになりかねません。支配者たちは日本の美味い酒と温泉、おもてなしを思いのままにし、日本国民の生活は沈んでいきます。

 日本がディールのテーブルに入っていき、自国の国益を主張し、国民の生命と財産を守らなければならない重大なときに来ています。こんな時に自国の国益と大戦略すらも語れない政府では国は潰れます。地政学的には日本は米・露・中の列強に挟まれた「緩衝国家(バッファーステート)」の位置づけです。今後、日本の経済力が弱まり、モタモタしていると次なる「ウクライナ」になります。

 戦後80年の8/15、国民一人ひとりがディールに参加するくらいに「覚醒する」とき、政治家もビジネスマンもこれまでしがみついてきた利権が「幻想」だったことに気づくときです。「戦後レジーム」消滅のときです。

 米露会談後の金融市場への影響については、ヘッジファンド・ニュースレターで詳しくお伝えしていきます。

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