世界の為替市場、原油安、ドル高が続く
今年は、先進国の中で米国だけがインフレなき成長を続け、ゼロ金利解除へと移行する。
原油下落、コモディティ価格の下落、強い米ドル、堅調な米国経済、そして海外から米国への資金流入という現状は、ITバブルが始まる直前の90年代の米国と類似している。
一方、日本と欧州の景気は弱く、日銀もECBも追加緩和政策を続ける必要があるだろう。加えて、原油価格は、産油国が供給を継続することからまだ下げる余地がある。
こうしたトレンドは、昨年後半から引き続き、今年の為替市場も影響を与えるだろう。
世界銀行は、今年の原油価格は平均して昨年よりも3割安となり、世界のインフレ率を0.4%から0.9%引き下げると予想している。
原油安でペトロダラー枯渇が懸念されるロシア、ベネズエラ、ナイジェリアといった産油国では通貨安と株安が同時に起こっている。
新興国の中でも原油輸入国であるインドと南ア、インドネシアが原油下落のプラスの影響を受けると世界銀行は報じている。
2001年に台頭して来た新興国をブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字をとってBRICsと名付けたジム・オニール氏は、2020年までにロシアとブラジルが成長路線から離脱し、インドと中国だけが残るICになると発言している。
もともと21世紀明けて中国の高度成長で引き起こされた巨大な需要に資源国が引き込まれる形で新興国が発展してきたので、中国が低成長時代に入れば、資源国もまた需要減退の影響を受けざるを得ない。
また、中進国となった中国は、全てを犠牲にして成長するというこれまでの路線を変更しようとしている。2001年以来、中国は3.67兆ドルもの外貨準備高を積み上げて来た。
そして、昨年よりこの外貨準備高をユーロや豪ドル建てに分散し始めている。中国の中央銀行はより戦略的で自立性をもった通貨政策に切り替えようとしている。
日本市場に関しては、株式売買(東証一部)の6割近くを海外投資家が占めている。2013年、海外投資家の買越額は過去最高の14兆6508億円に達した。
しかし、14年には9965億円と、2003年以来初めて1兆円を下回った(ただし2008年は売超し)という。
過去半年間、信用力の高い円で、超低金利で借入れ、高利回りの通貨に投資する円キャリートレードが復活した。
海外投資家は金利差と円安進行でダブルに儲け、11月から12月に円を買い、円キャリを巻き戻し、総選挙後に収益を確定したと見られる。
海外投資家は、中長期的に日本に弱気であり、日銀のさらなる追加緩和も視野に入れている。
一般家計の貯蓄が1955年以来初めてマイナスに転じ、少子高齢化が深刻化する日本は、家計も政府も戦後の成長以来蓄積してきた資産を大きく切り崩している。
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