通貨安戦争未だ止まず
この1週間に、グローバルな投資マネーは、株式から債券へと「リスクオフ」にシフトした。そのなかで、中国とロシアに関しては、株式・債券からの資金流出が目立つ。
特に、中国に関しては、先週金曜(10月23日)に中央銀行にあたる中国人民銀行が、過去12ヶ月で6回目の利下げを実施した。その狙いは、経済の成長鈍化を食い止め、企業の調達コストを下げ、そして、銀行の預金準備率を引き下げ、何よりも資金流出を防ぐことである。
さらに、中国は、預金金利の上限を撤廃し、金利自由化を推し進めようとしている。これだけの金融政策を一気に推進する「大躍進」は実現可能なのだろうか。中国が独自に金融のグローバル化を目指し、通貨安戦争を続けるとき、「中国リスク」は、新たな火種として、米中の南シナ海で顕在化してきている。
中国の目指す次なる「大躍進」
この1週間に、グローバルな投資マネーは、株式から債券へと「リスクオフ」にシフトした。そのなかで、中国とロシアに関しては、株式・債券からの資金流出が目立つ。
特に、中国に関しては、先週金曜(10月23日)に中央銀行にあたる中国人民銀行が、過去12ヶ月で6回目の利下げを実施した。その狙いは、経済の成長鈍化を食い止め、企業の調達コストを下げ、そして、銀行の預金準備率を引き下げ、何よりも資金流出を防ぐことである。
さらに、中国は、預金金利の上限を撤廃し、金利自由化を推し進めようとしている。これだけの金融政策を一気に推進する「大躍進」は実現可能なのだろうか。中国が独自に金融のグローバル化を目指し、通貨安戦争を続けるとき、「中国リスク」は、新たな火種として、米中の南シナ海で顕在化してきている。
問題は、「中国リスク」が、通貨通商貿易の領域やサイバー上の攻撃を超えて軍事行動に顕われるときの不測の事態である。現在の中国の政治体制において、共産党の軍隊である人民解放軍に対して陸海空軍がそれぞれ不測の動きをした場合、党自体がシビリアン・コントロールをどこまで把握できるのか。
「戦争相場」ということばがあり、戦争が始まると米国では株価が上昇する傾向がある。逆に、日本では戦争が始まると相場は下がる傾向にある。
通貨安戦争未だ止まず
中国の利下げや人民元切り下げは、金融グローバル化を旗印に通貨安戦争を先導するという態度表明ととれる。周知のとおり、ECBドラギ総裁はさらなる量的緩和を示唆しており、欧州ではマイナス金利が続くと見られる。このため、2014年半ばから引き続くユーロ市場から米ドルへの資本流出がさらに止まらないと見られる。また、新興国市場から米ドルへの資本流出も続きそうだ。
世界市場から米ドルへ資本流入が続き、ドル高が進むことについて、FRBは警戒感を示している。持続的なドル高が米国の輸出産業を制限する要因となるためだ。この要因から、FRBが年内に利上げに踏み切る可能性が低くなっていると見られている。
それでもFRBは利上げに踏み切る
ウォール街の専門家の多くは、FRBが9月に0.25%の利上げに踏み切るべきだったと考えている。国際金融市場だけを見れば、米国の景気やインフレの状況から判断して、0.25%の利上げはすでに織り込まれており、利上げはマーケットに大きなマイナス影響を与えないはずである。筆者は年内12月には利上げを実施するとみている。
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