グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

原油、ドル、そして金利

 リーマンショックから8年たとうとしている。国際金融市場はどこへ向かおうとしているのか。

 2月中旬以降、原油安とコモディティ価格下落に歯止めがかかり、年明けから下げて来た株式相場も、3月には上昇に転じた。特に下げの大きかった新興国市場では3月に大きく回復した。このリスクオンのトレンドは続くのだろうか。

 BNYメロン銀行のストラテジスト、サイモン・デリック氏は、中長期的な視点から、この2月中旬以降の相場転換に注目している。2002年から14年までの間、米国は住宅バブルの生成と崩壊を繰り返し、リーマンショック後には米国の度重なる金融緩和を実施した。この間、米ドルが世界中に還流し、8兆ドルが新興国に積上っていった。

 特にリーマンショック以降の2009年から2014年までに、FRBは未未曾有の危機を乗り切ろうと、矢継ぎ早に量的緩和を実施した。この間に、海外勢による米国債保有高は4.1兆ドルに達した。そのうちの2.22兆ドルはリーマンショック後に新興国の外貨準備高に積まれた。つまり、危機の前から新興国に流入してきたドル資金は、米国債購入などを通して米国資本市場に還流したのである。

 2013年5月にバーナンキFRB元理事長が量的緩和の出口を示唆した。この「テーパリング」(債券購入枠を縮小)発言を受けて、米国の金利上昇懸念が急激に高まった。実際にFRBが利上げに踏み切ったのは、現イエレン議長の指導の下、15年12月であったが、14年夏からバレルあたり百ドル台を付けていた原油価格は下げ始めた。また、ECBがマイナス金利に誘導したことで、グローバルな投資マネーは少しでもイールドをとれる米国債へと向かった。この頃、中国はドル建て外貨準備高を減らし、また、昨年8月に人民元切り下げと利下げを実施した。

 原油安とコモディティ価格の下落は、中国経済減速が主な要因と報じられてきた。一方で、27日のFOMCでは米国の利上げは見送られ、中国の成長鈍化とは別に、原油安が一旦底打ちし、そして中国のドル外貨準備高の縮小も止まり、この先、リスクオン・相場上昇が期待できそうに見える。潮目の変わるときなのか。新興国への資金流入のトレンドは続くのか。

 注目は6月のFOMCである。FRBは今年2回の利上げを見込んでおり、6月の利上げ期待が高まれば、3月に新興国市場を潤した投資マネーはまた米国に還流しそうだ。5月の伊勢志摩サミットと7月の選挙を控えて、日銀のさらなるマイナス金利政策も見守る必要がある。

gs160429
出所: WTI原油先物 月足チャート http://chartpark.com/wti.html 
・ 大きな変動は、
(1) 2008年7月の最高値($140)から09年1月の最安値($41台)への急落
(2) 2014年7月($105)から16年1月($34台)への急

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