グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

米朝会議の裏にある通貨の覇権争い

 トランプ氏は大統領になる前にテレビ番組 ”The Apprentice“ で人気を博した。この番組では実際にトランプの下で働きたい人たちが集められ、その地位を勝ち取るまでの過酷な戦いがくりひろげられる。このリアリティ・ショーでは、主演でボスのトランプが、「お前はクビだ!」と一人一人クビにして行く。

 米朝会談の「リアリティ・ショー」が始まっている。「ディール(取引)」がテーブルの上に置かれ、交渉のカードが切られて行く。北朝鮮にとっては命がけの外交ドラマである。

 北朝鮮が米朝会談を取りやめるかもしれないというカードを切る。すると、米側は北朝鮮に歩み寄りを示唆し、完全な非核化を条件に体制保証をちらつかせる。「ボスの言う通りにして、豊かな国になりたいか。それとも経済制裁が強化されて苦しむイランのようになりたいか。会談に応じなければ、お前はクビだ!」とトランプ氏が言っているようにも聞こえる。

 北朝鮮は国際社会の「諸悪のハブ」として存在してきた。贋ドル札、麻薬、拉致、核の取引などの闇から出て、お天道様を仰ぎ見てまっとうな国家運営できるのか?しかも、既存の恐怖独裁政治体制を存続しながら、成長戦略を描けるのか?

 「豊かになる」と言っても、少しでも経済成長が芽生えれば、独裁政治体制から解放の光が見えた瞬間に、北朝鮮は国家存続の正当性を失うだろう。正当性がなくなれば、自動的に核放棄となるだろう。

 北朝鮮にとっての成長モデルは中国だと言われている。中国は共産主義体制の上に市場経済を成功させ、GDP世界2位に上り詰めた。確かに、北朝鮮はこのところ中国を頻繁に訪れている。

 北朝鮮がトランプ政権に強い態度にでる裏には、米中貿易戦争がある。そして、その裏には、米中の通貨をめぐる覇権争いがある。

 北朝鮮はドルの経済圏に組み込まれるのか、あるいは人民元の経済圏に取り込まれるのか?米中はその裏でどのようなディールをするのか?

 無期限の国家主席となった習近平氏と比べて、トランプ氏には大統領任期と言うプレッシャーがある。中間選挙で共和党が議席を減らせば、トランプ氏は議会での影響力を低下させてしまう。

 日本はどうなるか?拉致問題は解決するのか?米中の間に挟まれた日本はとばっちりを食らうだろう。米朝会談の結果、休戦協定が平和裡に終われば、政府と民間レベルにおいて北朝鮮への資金供与、技術支援などを要請されることになるのかもしれない。

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