トルコショックの先にあるもの
トルコリラが急落し、トルコはカタールから15億ドルの融資を受けるが、焼け石に水のようなもので、エルドアン大統領の下でこのままIMFの支援を仰ぐこともなく対処が遅れると、トルコ危機が周辺に広がっていくことになりそうだ。トルコリラはユーロと相関性があり、ユーロ安に動いている。外債の保有を増やして来た邦銀にとっても信用リスクの増大は警戒すべきである。
さて、通貨危機が行き着く先はどこか? スティーブ・ハンク教授(ジョンズホプキンス大学)は、ソ連を始め多くの社会主義国家が財政危機とハイパーインフレによって崩壊していった様子をBBCに語っている。( https://www.bbc.co.uk/programmes/p01s60xf )
例えば1994年ユーゴスラビアのケースでは、内戦とハイパーインフレにより国家は破綻したが、実に政府は財政赤字の9割を中央銀行から調達していた。加えて、2001年エクアドル、08年ジンバブエもハイパーインフレから、自国通貨は死に、ドルへと転換された(ドル化:ダラーゼーション)。今ハイパーインフレに苦しむベネズエラの先にも国家破綻とドル化が見えている。
米中貿易戦争に関しても、通貨の覇権争いであり、米国の目的は人民元のドル化であると筆者は考える。
こうした他国の事情は人ごとではない。日本の財政赤字もいつまで日銀からの調達でまかなえるのか? こうした社会主義国家が財政危機で破綻したのは、税金の回収が非効率だったためで、日本が存続しているのは、税金を払い続ける国民のおかげである。しかし、この先、消費税増税や森林税やらでさらなる重税となるし、人口減少と高齢化で国民一人当たりの負担はますます増え続け、国民は高齢になるまで働けど決して豊かになれない。これからは、固定資産税を払えない高齢者が増えていくだろう。それでも財政赤字は減る気配もない。
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