グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

世界標準で見た日本の年金制度、その評価は「D」

 このコラムでも取り上げた「金融審議会による”高齢社会における資産形成・管理”報告案」は、「老後の年金2000万円不足」として話題になった。

 メディアが参議院選挙前にこの「年金問題」を騒ぎ立て、与党の政治家たちはこの問題をうやむやにしてしまった。しかし、国民にとって大切な年金。超高齢社会で年金制度がどうなるか、客観的かつ公正に論じる必要がある。

 大手年金コンサル会社マーサーが、世界37カ国の年金制度の格付けを公表した。結論から言うと、日本は37カ国中31位で、成績(グレード)はD、大学の成績だと落第点だ。

 成績上位は、1位オランダ、2位デンマーク、3位オーストラリア、4位フィンランド、5位スウェーデンと北欧諸国が占める。欧米では、ドイツ13位、英国14位、米国16位、フランス18位、アジアではシンガポールが7位だ。

各国年金制度を成績別にまとめた下の表を参考までにごらんください。

 マーサー社による評価指標は以下の3つで、それぞれのパーセンテージで合計した総合得点で順位が決まる。

  • 「国民の資産の充実度 Adequacy」(40%): 老後への備え、預貯金や持家などの資産状況、福利厚生、税制面の補助など
  • 「年金制度の持続可能性 Sustainability」(35%): 年金基金の資産状況、人口動態、政府の負債、国の経済成長の見通しなど
  • 「規制など制度面全体の誠実度 Integrity」(25%): 監督規制、ガバナンス、制度運用コストなど

 日本の順位はなぜ低いのか。指標別に見ると、やはり(2)持続可能性が30点台で足を引っ張っている。確かに過去数十年にわたる人口減少や増え続ける公的債務、そして成長減速に対して根本的な改革がなく、やりっぱなしだ。

 制度面では、政府は拠出額を増やし、給付年齢を引き上げて「人生100年時代」に備えようとしている。しかし、若い世代にとっては負担が増えるばかりで所得が増えず、しかも、企業が確定拠出型年金に移行する中、老後の年金がもらえるのかも不安だ。だから自己防衛で消費を控える。経済全体として負のスパイラルに陥っている。これを逆回転させプラスのスパイラルに修正するためには、若い世代に対して安心安全の老後設計を促す必要がある。そのためにはきちんとした投資運用に関する教育が求められる。

格付けや詳しい評価については、マーサー社のレポートをごらんください。

https://info.mercer.com/rs/521-DEV-513/images/MMGPI%202019%20Full%20Report.pdf

コメントは締め切りました。