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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

米台接近で、高まる米中緊張 緊急事態も

 1月6日に、米国上下両院による合同議会が行われ、大統領選挙の最終的な決断がなされた。上院議長を務めたペンス副大統領に、不正な投票数をどうするか判断が委ねられた。共和党上院議員10名以上、下院議員100名以上が投票に異議を申し立てたにも関わらず、ペンス氏は投票結果を変えないという判断を下した。

 これで、大統領と上下両院を民主党が支配する「ブルーウェーブ」に確定した。ウォール街は、グリーンディールやインフラ整備、国民皆保険などのバイデン政策が実施される可能性が高まったと、動き出そうとしている。

 この「バイデノミックス」を支えるFRBは、インフレ率2%と完全雇用を目指して量的緩和を続ける。そして、マーケットは早くもFRBがいつテーパリング(量的拡大の縮小)に踏み切るかを視野に入れているようだ。それを見越してか、9日に米国債10年利回りが1.1%を超えた。

 この辺りの情勢は主要メディアが報道し、それだけ見ていれば「トランプ氏がいかに悪あがきをしようが、20日からバイデン政権がスタートする」、そして、世界の株価はコロナ感染拡大にも関わらず最高値を更新しており、投資家は強気だ・・・と見えてしまう。

 しかし、本当にそうなのか?米国(日本も含めて)主要メディアは、現職大統領の重大な演説を何一つ正確に伝えていない。米国の政治がどう動くかについて、20日の次期大統領就任式まで予断は許さない。

 何か不測の事態が起こるのか?そのシグナルとして、私はヘッジファンドの動向ショートポジション(空売りの積み上げ)に注目している。6日のジョージア州での「ブルーウェーブ」で、空売りの買い戻しが一斉に起こり、先週の後半数日で株価を大きく押し上げた。この先、彼らが材料としてみているものは何か?

 私は米台接近のニュースが、大きなインパクトがあると想像する。米国国務省は「一つの中国」の原則に基づいてこれまで台湾接近を阻んできた規則を無効にすると発表した。香港では6日に、民主派元議員ら53人が逮捕された。逮捕者の中には米国人が含まれる。米国は民主主義の台湾と連帯を強める。この一連の流れから、米中の緊張が11日から一層高まるだろう。そして、米国国内での不測の事態やマーケットでボラティリティが急速に高まるリスクにも注意が必要だ。

ヘッジファンドニュースレター

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