QE とBRICSとの新しい関係
この3週間近く、FRBによる量的緩和(QE)が縮小に向かうというニュースが、国際金融市場に様々な影響を及ぼしています。特に、新興市場については、QEでじゃぶじゃぶになった投資マネーが干え上がるにつれ、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)市場で株価下落などの影響が懸念されています。
特に中国については、FT記事 “Money for nothing”(7月12日付)で、1兆ドルのシャドー・バンキングがあると報じています。100兆円の不良債権といえば、日本を苦しめたバブル破綻後の重荷に相当します。しかも、中国にはそれ以外にも潜在的不良債権が隠れています。中国は個人消費を底上げすることで経済成長を続けたいとのことですが、金融システムの不安定化が懸念されます。
その他の新興国については、FT紙Jonathan Wheatley記者の”Tapering of QE affects emerging economies in different ways”(7月12日付)に明快な解説があります。私が注目する点は以下のようです。
① 新興市場はそれぞれ独自の課題を抱え、FRBの金融政策の影響を直接受けるとはいえなくなっている。その背景として、国際金融市場でのドル建ての資金調達が減り、自国通貨建てに切り替わっている。また、多くの新興国では外貨準備高が相当積上っている。
② 資源国であるブラジルやロシアでは、FRBの金融政策よりもコモディティ関連に景気が連動している。ブラジルではインフレが食料品価格を押し上げ、市民の反感を招いており、金利引き下げに動く。
③ ロシア、インドでも金利上昇よりも中央銀行は引き下げに動くと予想される。
QE縮小は2015年頃との予測がありますが、それまでには新興国は一枚岩ではない、独立した関係をFRBと築きそうです。