グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

再びチャイナリスク考

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 中国、ベトナム、北朝鮮。この三国はアジアで社会主義を掲げています。米中が接近するなか、ベトナムはうまく二股かけています。中国と経済連携を深め、米国と軍事的連携を深めています。今週も中国に関するニュースをお届けします。

 7月12日に日本個人投資家協会の会員セミナーに参加しました。基調講演は長谷川慶太郎理事長。高齢とは思えない気迫に満ちたお話でした。中国に関する講演内容をシェアしたいと思います。
 まず、長谷川理事長によると、6月22日に北朝鮮はミサイルを撤去したことで、当面ミサイル発射の危機が回避されました。中国が北朝鮮向けの穀物、燃料タンク、原油の無償供与を止めたためです。原油がないと軍事パレードもできない、ミサイルも飛ばないということです。日本にとっては朗報です。
 第二に、米中関係についてです。長谷川理事長は中国の軍事情報に大変お詳しい。人民解放軍が北京政府と緊張関係にあることは、ご著書『中国大分裂』などに書かれています。
 先月カリフォルニアで行われたオバマ大統領と習近平国家主席のプライベートな会談では、オバマ氏が「解放軍をコントロールできなければ、中国は国際社会で生きて行けませんよ」と釘を刺したと言います。
 米国側からみれば、中国をWTOに加盟させ、仲間として扱うことで、中国の高度経済成長をお膳立てしたわけですから、自由貿易圏のメンバーとして適切な行動を取ってほしいのは当然のことです。
 習主席はオバマ大統領の信任をバックに、つまり国内に向けては「私の後ろには米国がいる」として解放軍と対峙します。では、具体的に解放軍を北京政府はどうコントロールするのか? 長谷川理事長いわく、ズバリ「ヒトとカネ(人事と予算)」です。やはり、先立つものはカネ、そして優秀な人材ですね。

【チャイナリスク再考、モノマネしないと生きて行けない】

 10日付けFT紙では中国の経済成長の本質的な特質について、マーティン・ウルフ氏が解説しています。

以前の論調は、「経済が成長し、中国が豊かになるにつれ、中国が世界中を食尽す」という中国脅威論が主でした。しかし、ウルフ氏の記事では、「中国は諸外国のノウハウに依存して成長を持続させる構造になっている」と指摘しています。

 日本も戦後、海外の技術を輸入し学び、独自の製品を開発し加工貿易で高度成長を成し遂げました。中国も同じパターンで海外から技術やノウハウを導入していますが、日本との違いは、中国では独自の技術開発でグローバル・ブランドになるような企業(ソニーのような)が成長していないのです。外資導入で技術移転を行いながら大量生産を自転車操業でこなしながら経済を引っ張って来たというイメージです。

 この点を踏まえれば、今行われている米中経済戦略対話において、中国の競争力が諸外国(特に米国)のノウハウに依存している以上、米国の主張する知財に関して両国が折り合うのは難しいです。

Martin Wolf, “Why China will not buy the world” July 10, 2013

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/28d1a4a8-e7ba-11e2-babb-00144feabdc0.html#axzz2YhAB9UWv

 さらに、FT記事 “Money for nothing”(7月12日付)では、1兆ドルのシャドー・バンキングがあると報じています。100兆円の不良債権といえば、日本を苦しめたバブル破綻後の重荷に相当します。しかも、中国にはそれ以外にも潜在的不良債権が隠れています。中国は個人消費を底上げすることで経済成長を続けたいとのことですが、金融システムの不安定化が懸念されます。

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