グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

新興国の政治不安と金融危機について

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 ウクライナ、スーダン、ベネズエラ、タイ国では、連日デモ隊と治安部隊の衝突が報じられています。
 国際金融市場でグローバルマネーの流れが大きく変わる時、新興国では政治体制が揺らぎ、カントリーリスクが一気に高まり、金融危機を助長する傾向があります。
 歴史上、ソ連や中国で共産党独裁が成立したときには、それ以前の株価や通貨の価値はほとんどゼロになりました。さらに、ソ連共産主義体制が崩壊した後も自国通貨ルーブルの価値が下落し、1998年のロシア危機など大きな混乱が起こりました。
 21日付FT紙は、ウクライナのドル建て政府債(今年6月満期)の利回りが32%に跳ね上がったと伝えました。ウクライナで内戦の可能性をつぶさないかぎり、デフォルトのリスクは消えません。
 また、スーダンの内戦は、ジェノサイド(民族浄化)の様相を呈しています。ウォール街には、現スーダン政権を支えるペトロチャイナ、シノペック、ONGC、ペトロナスに加担する投資をやめようというdivest(投資引き上げ) 運動が始まっています。
 17日付FT紙によれば、 “Investors Against Genocide” を率いるエリック・コーエン氏は、大手年金基金など機関投資家がジェノサイド銘柄からの引き上を求め、TIAA-CREFなど「反ジェノサイド・ポリシー」を適用する基金もあります。しかし、13億ドルもペトロチャイナを保有するJPモルガンはその求めに応じていません。
 ウクライナ、スーダン そしてベネズエラでは、地下資源をめぐる大国間の利権の対立がウラにあります。世界の投機資金が実物資産・資源に向かうなか、国内の権力闘争は大国の代理戦争と言えます。
 グローバルマネーが新興国市場へ再び戻るのは、政治的混乱が収まった後、まだ先になりそうです。

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