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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

第一回 SAIL ポートフォリオ・アカデミー レビュー

 

GSニュースの読者の皆様、新年おめでとうございます。
いつもご愛読を頂き、有り難うございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

SAIL ポートフォリオ・アカデミー 第一回セミナーを
昨年末の2013年12月25日に行いました。

「SAILポートフォリオ・アカデミー」は、
長期に安定的な資産保全を目指すべく、
最新のオルタナティブ投資を含む
ポートフォリオ分散投資のあり方等を、
投資家の観点から、独立の立場から、
様々なプロフェッショナルの情報提供いて参ります。

「アカデミー」と称する理由は、
特定の証券会社や運用会社が商品を提供するセルサイドではなく、
常に客観的なバイサイドに立って、
優れた投資運用戦略の提案を行って参ります。

以下、第一回セミナーの概要をまとめてご報告いたします。

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I. 熊谷亮丸氏(大和総研チーフエコノミスト)

題目「2014年の日本経済・金融市場展望 ~「アベノミクス」
で日本経済は再生するか?~」

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ポイントは以下のようです。(プレゼン資料からの引用です。)

Ⅰ.「アベノミクス」は日本経済再生の起爆剤となるか?

①「アベノミクス」の中間評価

-金融緩和の効果は着実に浸透

②「アベノミクス」に対する2つの批判は根拠が薄い

【批判1】長期金利上昇が景気に悪影響を及ぼす?

【批判2】インフレが進行するなか、雇用者所得が増加しない?

Ⅱ. 「アベノミクス」が抱える3つの課題

①「財政規律の維持」に失敗すると、「トリプル安(債券安・株安・円安)」が進行?

② 「中長期的な経済体質の改善・構造改革」が不十分?

③ 家計部門の所得には改善の余地?

Ⅲ.日本経済のメインシナリオ

・日本経済は2012年4月をピークに景気後退局面入り。ただし、2012年11月を底に景気は底入れ

①米国経済の持ち直し

②日銀による「異次元の金融緩和」

③消費税増税に伴う5兆円規模の経済対策

Ⅳ.日本経済のリスク要因

①米国の出口戦略等に伴う新興国の動揺

②中国の「シャドーバンキング」問題

③「欧州ソブリン危機」の再燃

④地政学的リスクを背景とする原油価格の高騰

Ⅴ.金融市場の展望:「リスクオフ」から「リスクオン」へ

・株高・円安基調は継続する見通し

・長期金利は中長期的に見れば大きく上昇する可能性

 

II. 引間雅史氏(上智大学特任教授、財務担当理事補佐)

題目「公共法人の資産運用 ~ソリューション・プロバイダー
としての資産運用業~」

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以下、引間教授の要点を簡単にまとめておきます。

 

日本の大学はアジアの大学との激烈な競争下にある。
そして、日本の私学は世界ランキング
(Times Higher Educationによる大学ランキング)400位に1校も入っていない。
日本の大学は国際性(留学生数・外国人教員比率・海外論文数等)で大きな後れをとっている。

日本の人口動態からみても、大学の再編・淘汰は不可避である。
強固な財務が教育・研究のサステナビリティの基盤であるが、
日本の私学は財源多様化に課題がある。

日米の大学の財務における資産運用収入の貢献度を比較すると、
日本の大学の予算に占める資産運用収益の貢献度が極めて低い。

米国大学寄付金は外部委託運用をベースに発展してきた。
他方、日本ではインハウス運用を継続して来た大学資金運用が主である。
大学法人、公益法人の運用において、根本的な見直し、再構築が望まれる。

具体的には、ボラティリティ管理戦略、投資対象の拡大(資産区分は細分化から統合化へ)、
運用機関マンデートの意思決定、マネジャーストラクチャーとベンチマーク構造等において、
パラダイムの転換を迫られている。

 

III. 森田隆大氏 (ワールドゴールドカウンシル 日本代表)

題目「金とポートフォリオ・リスクマネジメント」

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以下、ポイントをまとめます。

2013年4月に金価格は急落したが、
金の実需は短期的な経済動向に必ずしも影響されているといえない。
各国中央銀行、中国そしてインドの実需が堅調である。

 

ポートフォリオのリスクと金の役割
(金を組入れることでポートフォリオ全体のリスク分散を図る。)

様々なリスク要素 金の特有性

全体のボラティリティ ----主要資産との低い相関
テールリスク --------テールリスクのヘッジ効果
インフレリスク -------実物資産
信用リスク ---------信用リスクのない資産
通貨リスク ---------究極の通貨、通貨分散
流動性リスク --------高い流動性
カウンターパーティリスク ーーカウンターパーティリスクなし
オペレーショナル・リスク ーー明瞭な仕組み(ETFの活用など)
価格の透明性 --------一物一価

 

IV. 大井幸子氏(株式会社SAIL代表)

題目「資産保全のためのオルタナティブ資産と戦略の分散投資」

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以下、簡単なまとめです。

財団、大学基金、年金基金、ファミリー・オフィスなど組織の永続性を求め
長期にわたり資産保全を目的とする投資家の皆様にとって、
リスク調整後の安定リターンを長期にわたり確保し、
複利効果を味方にすることこそが、
最適なソリューションを考えます。

そのためにはマーケット・サイクルを乗り越え、
相場動向と低相関の運用を実施します。

具体的には、
投資戦略の整合性
運用者の質(アルファ)
絶対値の収益
長期にわたり安定的な収益を確保することで資産保全を図ります。

 

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