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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

2014年の日本株の見通し

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6日、日経平均株価は一時400円近く下げました。日経電子版では「大発会はヘッジファンドなどによる利益確定売りが膨らみ、先物主導で下げが加速した。一方、先物の影響を受けない東証2部株価指数は5営業日続伸」と伝えています。

http://www.nikkei.com/markets/features/30.aspx?g=DGXNMSGD06027_06012014000000

日本市場では、外国人投資家が取引高の三分の二を占めると言われています。昨年は年初から11月末まで外国人投資家の買い越し額は12兆円9千億円と膨らみました。

ちなみに、日本株に投資する「外国人投資家」とは海外のマネジャーで、マクロ経済の動向をみながら通貨、株、債券、先物に投資します。大きなトレンドを作るのは、ソロスのような巨額の資金を運用するグローバルマクロ戦略のヘッジファンドです。

他に、日本人のマネジャーで日本株ロング・ショートを運用するファンドもありますが、こうした日本関連ヘッジファンドの運用総額は2006年のピーク時で5兆円ほど、今は2兆円にも満たないと言われています。全世界のヘッジファンド投資残高が270兆円を超えるなか、日本勢のシェアは1%もないのが実情です。日本人でも優れたマネジャーは規制が多く税金の高い日本を逃れ、シンガポールなど海外で運用をしています。日本はヘッジファンド運用において欧米、アジア市場に大きな遅れをとっているのです。

海外のヘッジファンドは先物で円のショートポジションを積み上げ、そして、そのポジションは必ず解消に向かいます。いつ? FRBのテーパリング(量的緩和縮小)開始でも、日中間の軍事衝突でも、きっかけは何でもよいのです。ヘッジファンドが円のショートポジションを解消(円を買戻す)に向かう時、円高に振れる可能性があります。

ヘッジファンドが日本株売りに回るときには、たいていの場合、国内の投資家が買い手に回ります。外国人投資家と個人投資家の売り買いが相互に行われています。

今の個人投資家の心境は「やっと塩漬けになっていた株が動き出した」という実感から、またニーサ(NISA)が本格的に動き出すことから、今年も株に期待しようというところでしょうか。メディアもそうした機運を盛り上げています。個人投資家はやや強気です。

一方、年度末(3月31日)と消費税導入の4月の手前で、ヘッジファンドのような短期筋の日本株への資金流入は先細ると報じられていますが、テーパリング開始後もFRBがゼロ金利と過剰流動性を維持すれば、投機筋が4-6月期後夏以降、日本株に流入する可能性もあります。

円ドル相場については、ヘッジファンドの動きにもよりますが、急激な円高がいつ、どのような形でやってくるかについては、はっきりとはわかりません。過去の例では、欧州金融危機や 東北大震災に匹敵する災害、国際政治の不安定化などがトリガーとなっています。米国にはオバマ外交の失態という大きなハンディがあります。2014年は地政学的なリスクがファット・テイル・リスクとなる可能性があります。

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