グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

バーゼル新規制の行方に注視!第二のサブプライム・ショックに備えよ

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Basel Aussicht” by Dimelina. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
 

日経平均株価が15年ぶりの高値を付け、円安・株高が進んだ。強気筋は、株価が2万5千円を超えていくと予想している。たしかに、GPIFを始めとするゆうちょ、かんぽ、共済組合、日銀と言った公的機関の巨大資金が株式市場に流入し続け、高値圏内で株価が推移する可能性もある。しかし、筆者はすでに株価は山に例えれば9合目まで来たと感じている。

 

ムーディーズが昨年12月に日本の政府債券に対して一段階格下げし、A1と格付けしたのに続き、去る4月27日に格付け会社フィッチが、日本をシングルAに格下げした。同社は格下げの要因として、増大する日本の公的債務への懸念と「成長、金利変動への許容度が低い」ことをあげている。欧米メディアは今更のように日本の財政赤字への不安を書き立て、4月30日には日銀がさらなる金融緩和策に踏み切るという期待が株式相場を押し上げた。しかし、その期待ははずれ、その日の株価が500円近く大きく下げた。

 

筆者は、日本格下げに関して、バーゼル新規制の行方、バーゼル銀行監督委員会が金利リスクに対しどのような新規制を検討するかその結果を注目している。新たな資本規制でシングルA格の国債のリスクウェイトが高まれば、引当金を積むコストに加え、邦銀が国債を売り急ぎ、想定外の金利上昇が起こる可能性がある。

同時に、国債価格が急落すれば、邦銀やゆうちょ、GPIFなど国債を大量保有する金融機関のポートフォリオに大きな損失を抱えることになる。このような場合、日本は海外に蓄えた資産を国内へ引き戻すために円転し、円高に振れる傾向がある。急激な円高は当然、国内の輸出企業にとってマイナスの影響が大きく、株式相場も急落する可能性がある。そうした場合には、短期的な海外マネーが売浴びせ、下げ幅が拡大する。もっとも大きなリスクにさらされるのが日銀となりそうだ。マーケットは日銀のさらなる追加緩和を期待しているが、1992年にイングランド銀行に対してポンドを売り浴びせ、1997年にタイ・バーツを売浴びせたグローバルマクロ戦略のヘッジファンドの荒稼ぎの場となるだろう。

銀行は2007年のサブプライム・ショックのときと同様、リスクアセットの圧縮に動くだろうから、企業金融への引締め、貸し渋り、貸し剥がしが復活する。同時に、国内の公社債市場においても、発行体企業は日本国の格付け(シングルA)がシーリングとなり、調達コストが上昇するだろう。今後3ヶ月、日本企業は信用収縮に備え、警戒すべきときである。

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