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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

パリのテロ事件、国際金融市場はどうなる?

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11月13日(金)にパリで大規模なテロが発生し、フランス市民社会は文字通り恐怖に陥った。オランド大統領は国家非常事態を宣言し、国境封鎖へ動いた。

 

ニューヨークで経験した2001年「世界同時多発テロ」

筆者は「非常事態宣言」と聞くと、ニューヨークで経験した2001年「世界同時多発テロ」を思い出す。テロ直後、マンハッタン島へ通じる鉄道や橋などすべてが封鎖され、迷彩服の軍隊がなだれこんできた。テロ直後にニューヨーク株式市場は6%程度下げたものの、その後、米国は決してテロへ屈しないと猛烈な買いが株式相場を支えた。一方で、テロへの警戒感から個人消費は冷え込み、FRBは景気浮上のために思い切った利下げに踏み切った。ブッシュ大統領(当時)は「テロとの戦い」をスローガンに2003年イラクに侵攻した。ここから相場は反発し、住宅バブルが始まった。

このように、テロ直後は心理的な動揺や言論統制への反発など社会不安が拡がるが、いったん戦争が始まると愛国心が高まり、国民が団結し、戦時下の国家統制経済のもと、相場も上昇する傾向がある。

 

国際金融市場はこの後どうなる?

既に、米国、フランス、ロシアがIS(イスラム国)への空爆を開始した。冬の間シリアへの攻撃が続き、最悪の場合、レバノンなど周辺地域へ戦火が拡大し、EUへ流入する難民はさらに増えるだろう。難民・移民問題は、EU経済にとって大きな重しとなる。

例えば、1−10月に約75万人がドイツに流入しているが、すでに受け入れ態勢は限界に達している。フランスのみならずベルギー、ドイツでもテロ警戒態勢が強化され、EU域内での自由な移動や経済活動に制限がかかるなか、ヨーロッパ市民社会そのものが今後どのように存在し続けることが出来るのかといった根本的な問いに、EUは直面することになるだろう。

さて、国際金融市場を鑑みると、ECBや日銀の追加緩和への期待が高まるなか、米ドルへの一極集中が続いている。同時に、債券市場では密やかな異変が起こっている。米国債をはじめ多くのソブリン債(政府が発行し、信用保証のある債券)の在庫整理の動きがある。そのため、ソブリン債の信用リスクが社債の信用リスクよりも高まるという逆転現象が起きている。

先進国の中央銀行は、リーマンショック後に金融危機を乗り切り、信用収縮を防ぐために、金融緩和策と財政刺激策を実施し続けた。しかし、インフレ目標を掲げた量的緩和で財政赤字が是正されることはなく、国の借金は増え続けている。新たな戦争経済がそのリバランスを可能にするかどうか。テロやISとの戦いは、まだ始まったばかりである。

 

 

債券市場で起きている不可思議な現象について、ご参考までに、以下のブルームバーグ記事をご覧下さい。

 

 

呪われているのか、金融市場で起きている数々の奇妙な現象
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NXPJU46JIJV001.html

Debt Market Distortions Go Global as Nothing Makes Sense Anymore
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-11-15/debt-market-distortions-go-global-as-nothing-makes-sense-anymore

 

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