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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

人民元国際化と「アメリカンドリーム」

11月30日に、国際通貨基金(IMF)は中国人民元を米ドル、ユーロに次ぐ第三の通貨に位置づけることを正式に理事会で決定した。日本円の存在が薄まるなか、中国マネーの勢いが世界に押し寄せている。
 かつて日本のバブル経済がピークにあった1980年代後半に、ジャパンマネーがロックフェラーセンターを買うなど米国の不動産市場に押し寄せたことがあった。一時は「アメリカの魂まで買うのか」といった批判もあったが、30年前のことをふりかえると、今はそれほどの勢いのみじんも無い。
 円に代わって、大量の中国マネーがさらなる人民元安を見込んで、ロンドン金融街やマンハッタン、シリコンバレーの不動産市場に流入している。マンハッタンのGMビルや名門ウォルドルフアストリア・ホテルは中国資本が所有している。オーストラリアでは中国政府系ファンドがオフィスタワー9棟を購入している。

出所記事: “China cash floods US real estate markets”, New York Times (11月28日付) 

http://www.nytimes.com/2015/11/29/business/international/chinese-cash-floods-us-real-estate-market.html

 加えて、米国住宅市場にも中国富裕層マネーが流入している。広々とした緑の芝生に一戸建てというあこがれのマイホームを手に入れ、子供を大学までやるという「アメリカンドリーム」は、多くの中国富裕層のドリームとなっている。現に、日本人留学生が激減するなか、中国人が米国の大学の留学生の31%を占めるまでになっている。当然、中国人学生にとっても、ハーバード大学など名門校は狭き門である。多くは地方の州立大学や専門校にまで流入している。

 こうした中国からの資本流出は、2013年に始まった汚職腐敗撲滅運動から目立つようになった。さらに、この夏の中国株式市場の下落以降、大企業や大手銀行のトップや役員らが行方不明になるという事件が頻繁に起こっている。当局が彼らを数日間尋問するために連行したようだが、その真実は不透明なままである。

出所記事: “Chinese executives keep going missing” CNN Money (11月27日付)

http://money.cnn.com/2015/11/27/investing/china-missing-executives/index.html

 以上のように、中国は、政府が人民元の国際化を目指すなか、国内の資本家が国外へ資本逃避するという、自由な資本移動とはほど遠い状況にある。

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サイバーマンデーに見える米国の個人消費
https://globalstream-news.com/wpgsn/ohi-report/post-17987/

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