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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

国際金融市場、日本市場の見通し

国際金融市場がリスクオフに動いている。その背景には、原油安から産油国の財政が苦しくなり、カタールやUAE、ロシアの政府系ファンド(SWF)が4千億ドル(約40兆円)もの株式を売却している実体がある。原油安が世界同時株安へとつながっている。

参考記事 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-02-22/sovereign-wealth-funds-seen-selling-404-billion-of-equities

日本市場についても、外国人投資家が6週連続して日本株を売り超している。安全資産としての日本国債10年物はマイナス金利をつけた。

201602
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-02-21/blackrock-is-betting-on-japan-stocks-as-other-foreigners-flee

3月末の年度末決算に向けて、なんとか日経平均株価を昨年12月の水準まで上げたいと望む声は大きい。3月15日の日銀の政策決定会合でさらなるマイナス金利を予想する動きもある。しかし、なんといっても株価浮上策(PLO: Price Lifting Operation)の主役は「クジラ」である。ファクタ3月号記事『ゆうちょも日本株「爆買い」』によれば、GPIFに加えてもう一頭のクジラ(ゆうちょ)が泳ぎだす。ゆうちょの運用資産額は204兆円で、株式比率はわずか2%である。このクジラが4月以降買いに動くかもしれないという。

たとえ「口先介入」としてもその効果はありそうだ。外国人投資家は、3月末に向けて円ショート・日本株ロングのポジションを取り、そして、ゆうちょが来る頃には高値でさっさと利益確定売りに動くだろう。

そして、4月以降、外国人投資家のトレーディングの巻き戻しで、円高・株価下落のなかを、GPIFやゆうちょ、日銀などが買い支え、「安値で買った」と得意げに言うかもしれない。日本の民間企業の株式を大量保有することになるだろうクジラたち。いったい、公的部門に支配された経営者が、コーポレーションガバナンスやコンプライアンスにどのような意義を見いだすだろうか。もとはといえば、クジラを支えるのは国民の預貯金であり、公的部門の運営は国民の税金によって成り立っているのだ。

 

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https://globalstream-news.com/wpgsn/ohi-report/post-18180/

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