イエレンFRB議長の一挙一動を注視しているのは、ヘッジファンドも同じである。ヘッジファンド業界リサーチeVestment社アセットフロー・レポート(8月24日付)によると、全体の総資産運用額は約3兆ドルで、年初来559億ドルが解約されている。日経新聞(8月31日付)記事「ヘッジファンド苦境」でも、2015年に引き続きヘッジファンド全体のパフォーマンスが冴えないため、資金流出が続いていると報じている。
たしかに、S&P500指数は年初来6.7%上昇しているのに対して、ヘッジファンド(バークレイHF指数)全体では2.72%と見劣りする。
弊社が発行する「ヘッジファンド・ニュースレター8月号」でも、運用実績が伴わないヘッジファンドからの資金が流出し、実績の良いヘッジファンドに資金が流入している実態についてレポートしている。重要な点は、ヘッジファンドは淘汰の激しい業界であり、パフォーマンスの良いファンドはトップ1%に集中している。玉石混合のファンドの平均値にはあまり意味がない。投資家にとっては、トップマネジャーへのアクセスがキーとなる。
ヘッジファンド・ニュースレター8月号より抜粋
HF動向 第2四半期にみるアセットフロー 投資マネーの行方
グローバルHF運用残高(AUM)は2.8兆ドルと推定され、内訳は【グラフ2】のようである。株式ヘッジ戦略、マルチストラテジー、イベントドリブンが7割近くを占めている。
eVestmentのレポートではHF業界AUMは2.955兆ドルと推定され、6月には200億ドルの解約による流出、16年前半(1-6月)では279.5億ドルの流出となった。これは2009年来初の半年間での大量流出となっている。
6月に多くの流出が出る理由は、大手HFの場合、2015年末に解約請求を受け、その翌年である今年の6月に実際の支払が起こるためである。大手HFマルチアセットからの流出は6月に98.8億ドルと突出している。
15年はHF全体として特に夏場にパフォーマンスを下げたため、年末に解約請求が出たものと思われる。また、解約請求から支払までに期間が1ヶ月以上かかるため、Brexitは6月までの資金流出には影響を与えていない。
ヘッジファンドの戦略別、規模別、エリア別のパフォーマンスや、資金の流れについて全18ページで説明しています。
詳しくは、 月刊ヘッジファンド・ニュースレターをご覧下さい。
https://globalstream-news.com/wpgsn/hedge-fund-news-letter/
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