グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

リスク・オン状態のグローバルマネーはどこへ?中国・日本・米国からは流出、ギリシアやイタリア、スペインの国債やロシア株へ

大海に潮の満ち引きがあるように、マネーの流れも金融政策で変わります。現状は、満ち潮でマネーが市場にじゃぶじゃぶ溢れ、市場参加者にとって流動性が担保され、積極的にリスクを取れる(リスク・オン)環境にあります。

市場参加者のなかでトレンドの先端を行くのは、瞬時にリスク・オンとオフの行動をとれる少数精鋭のヘッジファンドです。彼らはオンとオフをスイッチのようにと切り替え、行動します。今のような市場環境はヘッジファンドにとって絶好の狩場です。

じつは、2012年10月に東京で世界銀行・IMF総会が開催された時に、グローバルマネーは「日本がデフレ脱却に動く」と見て、それから約10ヶ月間日本株を買い越しました。その間、リスク・オンで大量に押し寄せたグローバルマネーは日本市場で収益を確定し、年明け以降は売り超しています。グローバルマネーの次の狩場はどこか。

バンクオブニューヨーク・メロンのカレンシー・ストラテジスト、サマリット・シャンカー氏によると、この一ヶ月で日米の株式市場を潤したグローバルマネーの一部は、ギリシアやイタリア、スペインの国債へ向かい、また、インド、インドネシアなど新興市場の債券へ、さらに、不安定なウクライナ情勢を横目にロシア株式市場にも流入しています。

このところ、ECBが実質マイナス金利に誘導し、さらに量的緩和も辞さない様子が伝えられ、さらに、日本も消費税増税後に量的緩和に踏み切ると見込んで「リスク・オン」になった資金が、地政学リスクにも短期的な収益機会を求めて素早い動きをしています。

ウクライナ情勢については、欧米が追加制裁を検討していますが、資源国ロシアは「攻撃すれば世界経済に大打撃を与える」と、リスク・オン状況で溢れた資金を担保にプーチンは強気発言です。実際、本格的な戦争は回避されるとの見方から投機マネーがロシア株式に流入しています。同時に、ここ1週間で米国債など安全資産への流入も見られます。これは戦争状態に備えてのヘッジ行動であり、事態が緊迫すればリスク・オンからリスク・オフへの切り替えが急速に起こる可能性もあります。

こうしたグローバルマネーの動きでこのところ特に気になる点が二つあります。第一に、中国と日本の両国の株・債券双方からの資金流出です。中国では鉄鉱石の価格が5%下落するなど、市場関係者が日中に関して弱気になっています。第二に、米国株からの資金流出です。シャンカー氏によると、主に米国株を買っているのは個人投資家だけです。米国市場についても弱気と見られます。

米国では、これまで株式と並んで住宅や不動産価格が上昇し、資産富裕効果が景気を浮上させてきました。(アベノミクスも又、昨年はこうした浮上策が功を奏でました。)しかし、米国の株式市場が弱気に転じれば富裕効果もはげ落ちてしまいます。

ブルームバーグ記者でFRBウォッチャーとして著名な山広恒夫氏(ワシントンD.C.在住)は、米国の景気見通しについて、以下のように警告しています。

まず、住宅価格については、S&Pケース・シラーの20大都市圏住宅価格指数(季節調 整値)を見ると、今回の拡大局面では昨年10月がピークになり、その後は緩やかな下落トレンドを辿ってきました。 NY株のダウ平均は昨年12月末に最高値を付け、住宅価格は株価に先行してゆっくりと下げてきているようです。今後、株価下落となれば、住宅価格も下げ足を速めることになりそうです。

 

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引用 ブルームバーグ Bloomberg

 

さらに、山広氏は、住宅と共に米国の景気拡大をけん引してきた自動車産業について以下のように分析しています。(以下4月24日付ブルームバーグ記事の抜粋)

「3月の自動車・同部品の受注額は461億ドルで前月比0.5%増だが、2月の4.3%増から急減速してきた。また、3月の自動車販売は大幅に拡大していたが、実体は在庫調整を進めるための値引き販売が需要の先食いを招いているようだ。鉱工業生産指数統計に含まれる自動車生産台数を見ると、3月は年換算1127万台で、2月から2%減少した。米国の自動車生産台数は昨年12月の1158万台が今回の景気拡大局面でピークになっている。(中略)自動車在庫 は過去最大に膨れ上がっているだけに、生産調整がさらに進めば、経済活動が急減速するリスクは否定できない。」

米自動車業界の実態を見ると、今回のオバマ大統領訪日とTPP交渉では、11月中間選挙を前に日本への対策を急ぐ必要があったと思われます。

 

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