バブルの生成と破綻は人間の性: ウォジンローア博士かく語りけり

公開日: : 最終更新日:2014/03/20 大井リポート | 

tumblr_mvlob8kxA61sdyj9lo1_1280

 

アルバート・ウォジンローア博士は、かつてニューヨーク連銀でボルカー氏と机を並べたエコノミストです。クレディスイスなど大手投資銀行でエコノミストを歴任し、金利予想では定評があります。現在は、マンハッタンに本社のあるヘッジファンドのアドバイザーをされています。
以下、ウォジンローア博士のレポート、「Calm on the Surface (表面は静か)」(3月14日付)を自分なりに要点をまとめてみました。

  •   昨年5月に、バーナンキFRB議長が「テーパリング(量的緩和縮小)開始」に言及したとき、短期金利をほぼゼロに据え置くとしたのにもかかわらず、米国債の利回りが急上昇し、株価も下げました。景気回復は産業界にとって良いニュースなのに、ウォール街にとっては「キャリートレード」を可能にしてきたじゃぶじゃぶの資金供給を終わらせる憂うべきニュースと受け止められました。さらに、過剰信用がインフレを引き起こすという警戒感もでてきました。

 

  • 米国経済は、昨年春先から実質GDPは約2.5%で成長してきました。家計が貯蓄を切り崩してまで支出を増やして達成した成長といえます。しかし、バーナンキのテーパリング発言で、皮肉にも、住宅ローン金利が上昇し、住宅販売や建設がスローダウンし、雇用改善も遅れました。そうした時期、軍事費削減や政府部門の支出抑制、民間では国内でのエネルギー生産の拡大や医療保険の需要拡大が見られ、経済は表面的には静かにスムーズに成長しているように見えます。しかし、その表面下では変化が拡がりつつあります。

 

  •  大きな変化は、世界中で起こっています。日本の消費税増税は成長の懸念材料であり、また、中国では政治変革なしに個人消費や民間需要が牽引する経済資本システムに変革できるのかどうかは甚だ疑問です。同じことが、ロシア、トルコにもあてはまります。南米では、アルゼンチン、ブラジル、ベネズエラ経済の見通しはいっそう暗いです。ドイツと北欧を除いた欧州も、かなりの不景気です。そうした中、世界規模でライフスタイルが大きく変わろうとしています。若いインターネット世代は、より不安定な将来を生きることになります。過去の景気循環は同じように繰り返さないのです。

 

  •  FRBに関しても、共和党のバーナンキから民主党のイエレン新議長に交代したといった表面的な変化だけではありません。引き続きテーパリングは今のペースで実行されると予想されますが、景気の弱さを示す指数が単に気候のせいでないとなると、債券利回りは上昇し、株価が下落します。FED内部では緩和か引締めかといった論議が湧き出るでしょう。そして、その調整役を担うのが、世銀、IMF、イスラエル中央銀行で影響力を発揮した大物スタンレー・フィッシャーです。

 

  • 政府の無駄遣いや政治の腐敗によって非効率的な財政支出が止まらないケースもあります。経済成長が持続する限り、民間部門での信用が拡大し、行き過ぎるとやがてバブルが生成されます。こうしたバブル生成と破綻のパターンが繰り返されるのは、人間の欲望や恐怖といった人間性に根づいた要因のためです。

関連記事

no image

QE とBRICSとの新しい関係

 この3週間近く、FRBによる量的緩和(QE)が縮小に向かうというニュースが、国際金融市場に様々な影

記事を読む

リスク・オン状態のグローバルマネーはどこへ?中国・日本・米国からは流出、ギリシアやイタリア、スペインの国債やロシア株へ

大海に潮の満ち引きがあるように、マネーの流れも金融政策で変わります。現状は、満ち潮でマネーが市場にじ

記事を読む

no image

ベルルスコーニはいたこのイタロー

 昔、戦中派の父が「イタ公はあてにできない、ドイツだけと組んで戦争すればよかった」と言っていた。子供

記事を読む

市場の風向きが変わるとき

このところ世界で「トランプ現象」が渦巻いている。米国大統領選では、ドナルド・トランプ対ヒラリー・クリ

記事を読む

no image

円高、ボラティリティが高まるとき

6月3日(金)に5月の米国雇用統計が発表された。失業率は4.7%と2007年11月以来の低い数字と

記事を読む

グッド・フライデー or バッド・フライデー

Designed by Freepik[/caption] 本日はグッド・フライデー。欧米の

記事を読む

no image

日本のQEは道半ば、マーケットと対話しよう

 この数週間の急激なマーケットの動きをまとめると、1)新興国通貨の下落、2)日本株の下落、3)米国債

記事を読む

予断を許さない米国大統領選

米国大統領選挙は投票まであと1ヶ月を切り、候補者による第2回目の討論会が行われた。重要な政策課題に関

記事を読む

FRB金利据え置きで、英国国民投票、日本のマイナス金利はどうなる?

15日、イエレンFRB議長は金利据え置きを決定した。米国経済の低調な成長見通しと、23日に実施され

記事を読む

no image

北朝鮮はどうなるか、アジアの不安定化は進むのか

 19日正午のNHKニュースで、北朝鮮指導者、金正日の死去が伝えられた。その日は1時半に東京産業人倶

記事を読む

じぶんちポートフォリオ ヘッジファンドニュースレター

無料メルマガ

GSニュースメルマガ

週1回、大井幸子厳選の最新国際金融・経済情報が届く無料メルマガです。

登録はこちらから メールアドレスを入力してお申込みください。

follow us in feedly rss
  • GSニュースメルマガ

    週1回、大井幸子厳選の最新国際金融・経済情報が届く無料メルマガです。

    登録はこちらから メールアドレスを入力してお申込みください。

PAGE TOP ↑