米朝会談を前に揺れ動く相場。本格的調整局面は5月末以降か
4月18日に日米首脳会談は儀式的ではあったが、概ね無事終了した。日米貿易交渉については、二国間交渉を目指す米国とTPPが最善とする日本との間には依然大きな隔たりがある。FFR(自由で公正、相互的な貿易の枠組み)での通商協議が始まることになる。
トランプ大統領は日本との間の貿易赤字を減らそうとしており、そのために表向きは貿易交渉が行われるが、実際のソリューションとしては為替操作が手っ取り早い。円ドルは108円手前で円安の勢いが止まり、その後は円高に振れる可能性がある。
来週、4月27日には韓国と北朝鮮の直接会合が開かれる。韓国文大統領は朝鮮戦争(1950-53年)の休戦状態が終わることを望み、70年以上にわたる「戦後レジーム」が極東地域で終焉する歴史的瞬間をライブ報道しようと意気込んでいる。
筆者は2016年に出版した「円消滅!」で、朝鮮半島情勢の流動化を記した。そして、休戦を終わらせることは単なる終戦に向かうのではなく、新たな開戦を意味するかもしれないとも言及した。
5月末から6月初頭の米朝直接会談に向けて、ポンペオCIA長官が3月末に極秘訪朝し、金委員長と会い、米朝会談に向けての前提条件(非核化など)について話し合ったと報じられた。会談場所には、北朝鮮と国交のあるスウェーデンやスイスが候補に上がっている。
4月後半から5月末にかけて、歴史的な米朝会談の行先を見極めようと、この1ヶ月はリスクオンとオフの間を揺れ動く相場展開となるだろう。筆者は北朝鮮政府の存在意義や正当性からして、完全な非核化はないと考えている。しかし、21日に、朝鮮中央通信が「核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を中止する、核実験中止の透明性を担保するため北部の核実験城を破棄する」と報じ、金委員長は国際社会との対話に応じる姿勢を示した。
折しも、20日、米民主党全国委員会(DNC)は、2016年の大統領選挙でロシアと共謀して選挙妨害をしたとして、ロシア政府、トランプ選挙陣営、トランプ一家、ウィキリークスを提訴した。また、コミーFBI元長官が13日に暴露本を出版し、15日には米ABC(TV番組)のインタビューに出演し、「トランプ氏は大統領として道徳的に不適格」と述べた。国内では11月の中間選挙を睨んで、トランプ・バッシングが強まるだろう。トランプ氏が弾劾裁判を逃れる手段として北朝鮮と交渉するのであれば、コミー氏が懸念する「外国勢力によって国益が阻害される」状況が生じる。
真実を見極めるとき、相場もまた5月末以降大きな調整局面に入る可能性がある。筆者の懸念は、かつて「6カ国協議」の一員だった日本が今は蚊帳の外にあるという事実だ。「5カ国協議」(米、中、露、韓国・北朝鮮)の見ている世界と日本が見ている世界とに隔たりがあるのではないか。
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