米朝会談の裏で繰り広げられる米中通貨戦争
6月12日の米朝会談から早1ヶ月が経とうとしている。7月7日にポンペオ国務長官が北朝鮮を訪問した。その翌日の8日に、北朝鮮は米国からの非核化の要求を「ギャングのよう」と声明を出した。一方で、米国は「進展があった」と報じた。
北朝鮮専門研究機関「38 North」では、北朝鮮が非核化どころか、「ヨンビョン核研究施設でウラン濃縮工場は稼働し続けている」(6/26付記事と衛星写真)と報じている。米国は北朝鮮への制裁を続けるとし、それでも「北朝鮮が約束を守ってくれることを期待する」とやんわりかわしている。この妙なちぐはぐさは何を意味するのか?
同日の8日から米中貿易戦争が本格化した。中国は、米朝会談あたりから、株安・人民元安に見舞われている。多くの金融関係者は2015年8月チャイナショックの再来に警戒を強めている。チャイナショックでは、2015年6月から8月までの2ヶ月で上海総合指数が45%も下落し、人民元の切り下げで中国から資本逃避が起こった。
【上海総合指数】
【ドル vs 人民元】
出所 FT “China market turmoil revives memories of previous carnage” (7/6/2018)
中国の中央銀行である中国人民銀行は2015年8月の危機から学び、今回は介入で対ドル6.70 RMBでなんとか凌げるかどうか。当局がいつまで信用不安をコントロールし、デレバレッジング(負債を減らしリスクを軽減)で不動産バブル破綻を避けられるのか?
自転車操業のような中国経済の発展形態から見ると、ゆっくり走ると体制が倒れてしまうのではないか。米国への輸出が先細り、成長鈍化と株価下落が続き、ドルの後ろ盾のなくなった場合に、人民元の価値はどこまで保持できるか?貿易戦争はつまるところ、通貨戦争であり、敵の通貨の価値を叩き、経済的ダメージを最大化するのが目的である。
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