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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

総裁選に注目。3年で出口?トリプル安か?

 自民党総裁選が間近に迫っている。ニュースでは石破氏との討論会で、安倍総理が「この総裁選で私が勝てばあと3年でアベノミクスは出口に向かう」と発言した。

 筆者の知人で中堅企業のオーナー経営者は、結局アベノミクスは「アワのミックス」ジュースで飲めなかったと言っている。日銀によるこの異常な金融緩和を3年で終らせる以前に、「実体経済にとってアベノミクスはアワのような効果しかなかったし、さらなる消費税増税でアワは完全に消える」と、実体経済に関わる人たちはすでに確実な景気後退を悟っている。力の弱い中小企業は破綻か廃業か売却かの選択を迫られるだろう。

 問題は、金融市場の反応である。政策でマーケットの動きをコントロールすることはできない。マーケット関係者は「3年で出口」と聞いた瞬間に、ポジションを巻き返すだろう。国債の投げ売りや金利の急騰で、債券安・株安・円安のトリプル安となるリスクがある。これでは今までの日銀の緩和政策が全て裏目に出る可能性がある。
 アベノミクスのもとで日銀は、国債を年間80兆円、株式ETFを6兆円購入してきた。トレーダーのI氏によれば、日銀はユニクロやソフトバンクなど効率的に日経平均株価を上昇させるような銘柄を忖度して購入している。こうした日銀の購入が永遠に続くわけがない。現にユニクロの発行済株式のほとんどを買い占めるなど日銀による購入には限界が近づいているのだ。

 さらに、アベノミクスには実態が伴っていない。例えば、就業者数が増え、失業率が低下したという成果に関して、エコノミストの塚澤氏は、「確かに2012-16年の5年間で就業者数は168万人増えたが、その中身を見ると94%が65歳以上で、82%は女性である。その6割は介護事業などに従事。介護や宿泊・飲食サービス業の生産性は低く、賃金水準は350万円以下と、製造業平均の503万円に対し、低い」とコメントしている。これでは雇用の質の向上、生産性の向上、賃金上昇と言った上昇気流が見えてこない。アベノミクスの三本目の矢、成長戦略は幻だったのか。

 9月20日の総裁選で安倍氏続投でも、その後のマーケットは要注意である。

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