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21世紀型AI軍拡競争へ

前回、このコラムで米中貿易戦争の裏には、米国対中露の軍拡競争があると述べた。10月20日、トランプ大統領は、INF(中距離核戦力全廃)条約から離脱すると発表し、再び軍拡競争の仕切り直しが表面化した。

INF条約は1987年にレーガン大統領とゴルバチョフ書記長によって締結された。しかし、ロシアはこの条約に反して中距離核戦力「9M729」新型巡航ミサイル(射程距離500-550 km)を開発し、当然、欧米は射程内にある。こうした情報はオバマ政権の頃から認識されてきたが、米国は条約に留まっていた。しかし今回は、ロシアのみならず中国との軍拡競争において、米国は本気で危機感を強めている。

10月18日付けForeign Affairs誌記事(Snapshot) “Can the Pentagon Win the AI Arms Race?; Why the US Is in Danger of Falling Behind”(ペンタゴンはAI軍拡競争に勝てるのか?)では、米国が人工知能(AI)を駆使した軍事技術開発において、中露に遅れをとっているのではないかと論じている。

AIは1960年代から開発が盛んになり、現在は第3世代の段階にある。Foreign Affairs記事によれば、「狭義のAI」は「機械がタスクを処理する」初期段階で、そこから「大量データ処理から統計的なパターンを認識する」という発展段階までで、第3世代のAIは、変化する環境下で複雑な情報を短期間に処理し、決断力を持つ。兵器としては自ら判断し敵と戦うAIである。

筆者は、マイケル・ジャクソンの最後のドキュメンタリー”This is It!”で大勢のロボット兵がザックザックと行進してくる映像が現実になるのかと思い、ぞっとする。21世紀には、核兵器のような高価な重厚長大型の武器を必要とせずとも効果的な破壊力を発揮できる戦争が可能になった。核兵器を巡る軍拡と別の次元の軍拡との両面で、これまでの平和と繁栄とが危機に晒されている。

こうした状況を反映し、金融市場もまた不安定さが増している。米国の中間選挙後にこの地政学的な不安定要素が一層膨らむリスクが高まっているように感じられる。

ソース Can the Pentagon Win the AI Arms Race?; Why the US Is in Danger of Falling Behind
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