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米中対立と安全保障

 このところ米中対立が激しさを増している。米国は中国が中間選挙に対トランプ大統領にサイバー攻撃をしたと非難。また、9月末に南沙諸島で「航行の自由」作戦を展開する米国駆逐艦に中国艦艇が異常接近し、緊張が走った。貿易以外の領域、サイバー上、西太平洋上にも対立の場が広がっている。その背景には、安全保障上の重要な要因がある。

 1989年、ベルリンの壁が崩壊し、米国は冷戦でソ連に勝利した。しかし、2001年9.11の世界同時多発テロの後、「テロとの戦い」に邁進し、イラクやアフガンで疲弊した。挙げ句の果て、オサマビン・ラーディン殺害後はIS(通称イスラム国)がボーダレスに恐怖を撒き散らす中、米国は核開発でロシアに遅れをとってしまったようだ。それと同時に、経済成長と技術革新の面で中国の躍進を許してしまった。その結果、米国を除く世界を中国独自の標準化で覇権を狙う中国の野心がピークに達したようだ。

 National Interest誌によると、ロシアは「S-400トリウームフ」というロシア版サード(THAAD: 弾道弾迎撃ミサイル)を開発し、中国人民解放軍がこの4月にロシアから購入し、8月1日に設備を完了した。トルコも購入した。インドも購入を決定している。カタール、メキシコ、ギリシャは、S-300(古いバージョン)を保有している。トリウームフは、400km先の6つの目標を同時に処理する能力を備えた高次元の対ステルス戦能力を有する。

 中国がS-400トリウームフを設置したことで、韓国の動向が丸見えになったという。中国人民解放軍が朝鮮半島に睨みをきかし、人民元が支配する経済圏が朝鮮半島に拡大しつつある。北朝鮮と中国の国境沿いには中国企業が進出し、新しいマンションが立ち、人民元の経済圏が築かれつつある。米国は今、北朝鮮に対しては徹底した経済制裁、そして、中国の野望に歯止めをかけなければ時遅しとなるだろう。

 もともと米国は、中国を自由貿易圏へ引き入れ、世界の工場に押し上げ、そして中国市場の利権を長期に得るはずだった。しかし、中国は一枚上手で、市場開放し、欧米の資本を導入したが、共産党独裁体制を維持しつつ世界第2位の経済大国となり、その裏では、人民解放軍がロシア(旧ソ連軍部)と通じて米国や近隣諸国の脅威となる軍拡を行なった。南沙諸島の海軍基地は既成事実化しているし、6年前から中露共同軍事演習も実施している。一帯一路構想では陸路と海路で覇権拡大を明確にしている。
10月4日、ペンス副大統領は、中国が「米国の民主主義に干渉している」と強く非難している。ペンス氏は11月中旬、中間選挙後にアジアを歴訪し、日本も訪問する予定である。朝鮮戦争終結に向けて世界が動く中、平和ボケの日本に何を伝えに来るのか。

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