年末にかけて深まっていく地政学リスク
11月6日の米中間選挙では予想通り、民主党が下院で多数を占め、「ねじれ議会」となった。トランプ大統領が2期目を目指さないとなれば、2020年の任期までに「米国第一主義」を徹底して推し進めるだろう。
特にアジア地域に関しては、米中貿易戦争、朝鮮半島の非核化、イランを含む中東情勢など多くの課題に向けてトランプ政権はかなりのスピードで動くだろう。折しも、11月18日に閉幕したAPECでは米中対立が際立った。
北朝鮮に関しても、12日に、米国シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が北朝鮮にある20ヶ所もの未公表ミサイル開発施設を示した。また、16日付けフィナンシャルタイムズ紙は、北朝鮮が新型の「超近代的戦術兵器」を実験したと報じ、非核化どころか、核戦力強化を進めている事実が明らかである。今後の米朝関係もまた緊張が高まりそうだ。(参考:North Korea tests ‘ultra-modern tactical weapon’)
以上の情勢に加え、2019年にかけて地政学リスクが高まり、金融市場もまた、国家間の対立上、ボラティリティが高まるだろう。金融市場では年初来2月と10月に株価の大きな調整局面があり、10月にはこれまで好調だったFANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)が大きく下げた。中国は政府系ファンドを通じて、米国債や米国IT関連銘柄を大きく売っていると推測される。
通常であれば11月終わりの感謝祭から年末にかけてクリスマス商戦で盛り上がるところだが、来年に向けては戦時下の様相が強まりそうだ。
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