グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

低ボラティリティー、いつまで保つか?

2月末に2回目の米朝会談が決裂に終わり、時を同じくして、米国は対中追加関税引き上げを期限を決めずに延期すると発表した。

米国のファンドは2月初めから中国株を売り越していたが、25日(月)には買いに転じた。中国株は大きく反発し、3月1日(金)までショートカバーの巻き返しで日本株も含めて株価が上昇した。4日の週に入り、関税障壁をめぐる米中貿易戦争が解決に向かうとの楽観的期待が相場を押し上げている。5日から全国人民代表大会(全人代)が始まる。

これまでの米朝、米中の交渉の成り行きを見ると、表面的にはトランプ大統領の言動についての報道が目立つが、実際のところ米国には相当優れた国家戦略があると思われる。

ライトハイザー通商代表は中国に対して、自国の輸出増加の目的で通貨切下げをしないように要求している。矛先は日本にも向かっている。日米貿易協議では日本政府がこれまでの米からの圧力を「先送り」してきたことへの報復が「為替条項」でくるかもしれない。

3月は年度末で、多くの関係者は3月29日の株価が気になる。2014年以降、外国人投資家は3月は売り越し、日銀が「PKO: プライス・キーピング・オペレーション」で株価を買い支えるパターンが見られてきた。平成最後の今年もそうなるか?

目下のボラティリティ(リスク)の低下を見ると、世界中には様々な地雷が埋まっており、いつ何時ボラティリティが上昇するのかについては、注意を怠るべきでない。米中、米朝、印パ、イタリアの財政難、ドイツ銀行の不信など、多くの課題が先送りになっている。

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