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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

米中貿易戦争のブーメラン効果 日本と北朝鮮にも波及

米中貿易戦争は長期化する。両国にとっては、軍事的覇権どう確保できるかという国家安全保障がかかった死活問題である。

米中貿易戦争の影響で世界全体の貿易が縮小している。中国の対米輸出は関税障壁でかなり減少し、中国の輸入は特に落ち込みが大きい(【グラフ1】世界の国別輸入量 )。

そして、欧州の製造業受注高も減少し、ECBは今年は利上げに踏み切らないと報じた。それほど世界全体で景気後退懸念が高まっている。

グラフ1

中国の経済成長が減速する中、米国は5Gをめぐる締め付けを強め、ファーウェイの製品を排除するようドイツにも働きかけている。日経電子版記事(3/13付)「邦銀むしばむ中国発の包囲網」でも中国の停滞は長期化すると見ている。

こうした動きを見越してパナソニックが中国から工場をタイへ移転した。逆に乗り遅れた典型がルネサスエレクトロニクスで、4月から生産停止に踏み切る。

【グラフ2】は、日本、韓国、タイ、台湾の4カ国の輸出先の増減を示している。2018年後半以降、中国への輸出(赤線)が減り、米国への輸出(青線)が増えている。周辺のアジア諸国が中国へのサプライチェーンを米国にシフトし始めている。

日本のメーカー企業もまた、中国への依存を減らし、東南アジア域内でのバリューチェーンを活発化し、欧米への輸出を加速させ生き残りを図るだろう。ただし、それができるのは体力と経営力を備えた企業のみで、ルネサスのような官製ファンドに支えられた企業や資金力のない中小零細企業は淘汰の波を受けるかもしれない。米中貿易戦争の影響はブーメランのように日本経済を支える製造業と金融機関を直撃する。

米中貿易戦争と中国経済の減速はまた、北朝鮮にも影響を与えるだろう。北朝鮮は経済を中国の支援に頼っている。不発に終わった2回目の米朝会談後、北朝鮮は中国に石炭を輸出して外貨を稼いでいると報じられている。中国が経済面で北朝鮮を支える余力がいつまで続くか。

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