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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

10連休のリスクについて

異例の10連休と新元号スタートの時が近づいている。長い連休前に注意したいポイントは、以下の2点である。

  1.  FX取引における急激な円高
  2.  北朝鮮情勢の突発的な行動

まず、1月3日に起こったような急激な円高(フラッシュクラッシュ)のリスク。日本市場が休場の場合、取引量が減り、流動性を欠き、極端な値動きの可能性が高まる。連休中の4/29、5/1、5/6は要注意である。

FRBが今年は利上げなしとハト派姿勢を明確にして以来、トランプ政権は輸出拡大のためにもドル安を望んでいる。先週のコラムでも記したように、VIX指数は低位に推移し、リスクを取りに行く動きが株価を押し上げてきた。ドル安で新興市場にもマネーが回っている。

FXでは多くの個人投資家が高利回り通貨とのキャリートレードを行っているが、円高リスクは、対ドル以外にも新興国通貨、特にトルコに対して警戒すべきである。トルコはインフレ率20%と、中央銀行の準備金不足にも警戒感が出ている。

 第2に、北朝鮮情勢について。今年9月のレイバーデイ以降、米国の選挙戦が本格化し、トランプ氏は2020年の再選に向けて集中努力すると見られている。

目下のところ、ロシアとの共謀が立証されず大統領弾劾というリスクは消えたように見える。が、司法妨害の可能性や納税申告拒否への追求に対して、トランプ氏は完全に政治的に安泰とは言えない。

トランプ氏が再選されるためには、現在の支持率(約45%)を維持し、かつ、中道派(無党派の浮動票)を味方につけておく必要がある。中道派は、トランプ氏による法人税引下げ(特に個人事業主への減税)で恩恵を受けてきた。しかし、最近は大統領とメディアとの醜い戦いや、大統領の極端な行動に対して「トランプ疲れ」が目立つ。中道派の支持を保つためには、株価維持が必要である。

株価維持と共に重要なのが原油価格の安定的維持である。米国株式の3割近くは石油関連であり、目下、イラン原油取引の禁止などで、バレル当たり60ドル台以上で推移する可能性は高い。

このように秋口に向けてトランプ氏の関心は国内政治や景気対策などに向かい、北朝鮮への関心は失われていくとみられる。3回目の米朝会談の可能性が薄まるにつれ、米国の関心を引きつけるために、金委員長が極端な行動に出る可能性がある。

 特にこのところ、北朝鮮による新型の戦術誘導兵器の実験など不穏な動きが報じられており、元号が変わる連休中、あるいは連休明け後に、通常兵器(生物化学兵器か?)による攻撃など突発的な行動にも警戒する必要がある。

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