グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

2021年から始まる10年はどのような時代になるのか?

 このまま米国がバイデン政権に移行すると、インフレと失業、そして大不況がやってきます。これから10年で米国経済は壊れ、資本主義そのものが終焉してしまうかもしれません。一方、中国では習近平氏は専制的な権力を維持するために、毛沢東主席がかつて自己の権力維持を目的に文化大革命を引き起こしたように、第2の文化大革命が起こる可能性が高まっています。その場合、恐怖政治で国が混乱し、経済は失速し、多くの中国人が毛沢東時代のような貧困に引き戻されるかもしれません。2021年から始まる2020年代は、米中対立に決着がつかず、勝者なきディストピアに向かう、これがワーストシナリオです。

 さて、なぜ私がトランプ大統領に味方し、バイデン氏を悪者と扱うのか、その証拠を示してほしいという要望が読者から寄せられました。確かに、日本のテレビや金融情報系のロイター通信やブルームバーグにおいても、「トランプ=悪者、バイデン=良識のある人物」という印象で報じられています。果たして本当にそうなのでしょうか?

 「TVや新聞で報道しているから」といって情報を額面通り受け取るのは危険です。本当に何が起こっているのかを各自ができる限り事実にあたり、自分で考えてみることが重要だと思います。

 とは言っても、フェイクニュースが飛び交う中、全ての情報の裏をとることはもはや一般市民にとっては極めて難しいと思います。私は個人的にトランプ氏を贔屓しているわけではありませんが、トランプ氏が国民に向けて訴えた昨年12月2日の演説(トランプ自身が人生で最も重大な演説と説明した)で「米国憲法を守るために戦う」と明言したことを重視しています。米国は憲法に基づく共和国であり、大統領は憲法と聖書(神)に誓って国民の生命と財産を守るのが任務です。その意味で、彼は過去4年間で成果をあげた有言実行の大統領であると考えています。

 民主党は、かつてはケネディ大統領を輩出した輝かしい党でしたが、ケネディ暗殺後、特にクリントン政権からはその体質が根本的に変わってしまいました。民主党バイデン氏の勝利が不正選挙による結果なのかどうかについては、いまだにグレーゾーンにあります。数多くの不正の現場証拠が挙げられ、証人による宣誓供述書を含めて、ジュリアーニ弁護士やシドニー弁護士が裁判所に数多くのケースを持ち込んでいます。しかし、審議の手前で受理されず、結論に至っていません。また、大統領補佐官ナバロ氏が「ナバロレポート」を提出し、選挙の不正疑惑について多数の証拠を挙げています。しかし、この件についても審議にも至っていません。

THE ART OF THE STEAL Volume Two of the Navarro Report January 5, 2021(PDF)

 また、バイデン兄弟、親子が中国やウクライナと癒着していた事実も昨年10月から明らかになっています。証拠や証人も公開されています。不正選挙の裏で中共の資金が動いていたことも明らかになっています。この件を長年取材してきたニューヨーカー誌記者が昨年10月に出版し、バイデンファミリーのストーリーは公になっています。

Joe Biden: The Life, the Run, and What Matters Now (Amazon link)

私もGSニュース記事「米大統領選間近 コロナ禍で炙り出される真実」(2020/11/2)でこの件を取り上げました。

 つまり、1月6日の選挙人選挙によりバイデン勝利が確定したとはいえ、まだまだ不正投票や集計システムに関する審議すらされていないのが現実です。多くの米国人は、憲法上の権利である自分たちの投票権が踏みにじられた結果だとし、バイデンの正当性を認めないでしょう。

 米国政府の内部でも、上下両院議員や閣僚にも、それぞれが共和党寄りか民主党寄りかといった個人的な信条の違いがあります。しかし、ここに来て、米国は、建国の父たちの誓い、憲法と独立を守るのか、あるいは、外国の共産主義(あるいは社会主義)勢力による米国支配を許すのか、そのどちらか。米国はこの二者択一を迫られています。

 トランプ氏は任期の4年間で、米国権力の中枢がいかに腐敗しているかを国民の前に晒しました。メディアはこの事実を国民に知らせないよう、トランプを悪者に仕立ててきました。そして、ついに現職大統領をネット上SNSから削除し、言論統制を強めています。他国の独裁者のアカウントは残しているにも関わらず、です。

 私は米国に20年以上おりましたので、今も在米の友人たちから多くの情報を得ています。もちろん、専門領域である国際金融市場に関する情報については、自身で調査し、欧米の経済紙に加えヘッジファンド専門レポートやOxford Economics(経済予測専門会社)の情報を入手しています。政治情勢については、米国議会の公文書や一次資料、ナバロレポートのような調査報告書、Foreign Affairs(リベラル系)の外交誌、米国保守系ジャーナリスト(ハッカビーやルー・ドッブス)のサイトから、できる限り情報収集しています。

 昨年の大統領選挙以降の様々な政治情勢に関しては、知人でNY在住のエコノミスト熊坂有三氏の「ITeconomy.com」のサイトを活用しています。熊坂氏は国連エコノミストを務められ、GDP予測などマクロ経済動向レポートを提供しています。他にユーチューブでは、Harano Times (https://www.youtube.com/channel/UC6uzoOQ3Pitm5uhbdig8GYA) が、日々詳細を調査しレポートしています。

 ところで、中国では春節の休みが2月11日から始まります。その1ヶ月も前から、再び感染が拡大し、先週、河北省では省都の石家荘市を含む三都市でロックダウンが始まりました。黒竜省、江蘇省で人の動きを制限しています。香港のアップルデイリーによれば、石家荘市では、人々が食料品店に殺到し、食料品価格が50%も上昇していると報じています。

Grocery prices up 50% as Shijiazhuang in China enters 11th day of COVID lockdown

 今、中国北部に大寒波が到来し、豪からの輸入規制をしたために石炭が先細り、庶民は寒さに震え、食料不足のリスクにもさらされています。加えて感染拡大で社会不安が広がれば共産党の統治に亀裂が入ってくる、これが現実になるのを恐れているのが習近平です。中国国内には習体制に対する旧勢力(江沢民親族などの巨大な既得権益集団)が権力奪回を狙っています。そうした政治状況はかつての毛沢東時代と似ています。第2の「文化大革命」は、こうした内部の熾烈な権力闘争が顕在化するにつれ起こると予想されます。

 以上、米中対立とクロスする形で大統領選挙の行方とこれからの10年についての見通しを考えてみました。20日の次期大統領就任式に政権移行がスムーズになされるのかどうかも分からないほど、今、首都ワシントンDCでは緊張が高まっています。

 世界の政治情勢が同時多発的に揺らぐ中、仮に米国の覇権が揺らぐ場合、世界の金融システムや貿易体制などあらゆる経済活動がどう変化するのか。これを見極めるのは至難の技ですが、重大なタスクです。私は、金融地政学の知見を基に、不測の時代に世界の潮流をウォッチしていきます。そのためのグローバルストリーム・ニュースです。もちろん、非力な一人では至らない部分がたくさんあります。それでも、読者がいる限りは頑張っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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