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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

バイデン政権 巨額のインフラ投資で「双子の赤字」拡大

 4月になり、第2四半期がスタートです。バイデン政権が2兆ドルを超える大型インフラ投資 ”American Jobs Plan”を発表しました。総額2兆2,890億ドル(約252兆円)と、未だかつてない巨額な財政支出です。その中身は以下のようです(表)。

 バイデン政権は、最低賃金を上げ、労働組合を促進し、「労働者の味方」であると訴え、しかも、この政策がGDPを6.5%押し上げると強気です。これほど「大きな政府」を掲げて、本当に成長できるでしょうか?

 この巨額の資金は増税によってまかなわれます。結局、負担するのは米国民です。例えば、法人税は現行の21%から28%に引き上げられ、やがて30%以上になると見込まれています。加えて、所得税やガソリン税など、様々な税率も引き上げられると予想されます。

 結果として、短期的には、公共事業がGDPを押し上げるとしても、中期で見ると、増税で生活コストが上昇し、市民生活がじわじわと厳しくなるのではと、私はみています。

 金融市場はどう反応しているか。直近、4月2日(金)に米国の3月雇用統計が発表されました。雇用者数が昨年8月以来の大幅増加となり、政府のワクチン接種拡大や追加支援策が追い風になったとみられます。その上にさらにインフラ投資への期待から、マーケットでは、やはりインフレ懸念が強まります。

 実際、このプランが米国議会を通過するかどうかは分かりません。議員数は民主党と共和党で拮抗しています。現在、3議席が空席となっていますが、共和党の多くは、このプランに反対するのではとみられています。

 このように、バイデン政権のプランが実施されるかどうかはまだ明らかではありませんが、国際金融市場では、これ以上米国が財政拡大を続けると、「双子の赤字」(財政赤字と貿易赤字)が膨らみ続けるとみられています。そうした警戒感のわりには、円は対ドル110円とやや円安に動いています。

 この「双子の赤字」と聞くと、レーガン大統領の「強いドル」が思い起こされます。1980年代前半、レーガン政権はソ連との冷戦で軍事費を増大し、加えて日本から自動車や家電製品等を大量に輸入したことで、米国は多額の貿易赤字を抱えました。

 当時の米国は、高金利とドル高政策を掲げ、米国債を海外勢に購入してもらい財政赤字を埋めました。また、貿易赤字解消のために、日本が狙い撃ちされ、1985年プラザ合意によって、一気に円高が進みました。そうした副作用で、米国内の産業が空洞化するという大きなマイナスが生じました。

 このように、戦争や軍備増強などで米国の財政赤字が極度に膨んだあとに、その埋め合わせのために、大きな通貨政策の変更(為替操作)や金融市場のルール変更が予定されているのです。

 バイデン政権による矢継ぎ早の財政支出拡大の後に、何がやってくるのか?中期的に注意深く見守る必要がありそうです。

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