ウクライナ危機は「極度の貧困」をもたらす この現状から日本の安全保障と平和を考える
当ニュースレター(2022年1月19日号)で「世界の5大リスク」について記しました。ベストセラー『ファクトフルネス』の著者ロスリング氏は、起こりうる5つのリスクとして、感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困をあげています。
2022/01/19 トンガ近海における海底火山の大噴火 差し迫る5つのリスク 「世界の5大リスク」からのサバイバル、何をすべきか?
2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、戦争が長引いています。ご存じのように、ロシアとウクライナは世界の穀物の主要な生産地です。この肥沃な土地が戦火で覆われ、春の作付けができないと、これからの世界の食糧不足が懸念されます。
【図1】は左側に小麦の生産国、右側に輸出先の国を示しています。ロシアとウクライナは世界の小麦の生産のおよそ三分の一を占めています。小麦の主な輸出先は(多い順に)エジプト、トルコ、中国、インドネシア、アルジェリア、フィリピン、バングラデッシュ、ブラジル、日本、モロッコ、コロンビア、マレーシアです。ロシアとウクライナからの小麦に頼るのは、主にアジア、アフリカ、中東地域の約27億人と言われています。
また同様に【図2】はトウモロコシの生産国とその輸出先を示しています。トウモロコシの生産量は米国が圧倒的です。ロシアとウクライナを合わせて世界の2割ほどを生産しています。そして、最大の輸出先は中国です。トウモロコシは豚や家畜の飼料となるので重要です。中国では厳格な「ゼロコロナ」政策も相まって豚肉や食料価格が高騰しています。このままでは低所得層に食料が行き渡らない事態になり、社会不安につながるでしょう。
中国以外のアジアやアフリカでも小麦とトウモロコシが入手困難になると、貧困層は飢餓の危機に陥ります。大都市では食料を求める暴動が頻発するリスクが高まっています。南米ペルーの首都リマでは、燃料価格と化学肥料の価格高騰に抗議のデモが起こっています。ロスリング氏が懸念した「極度の貧困」が後進国に広がり、人類がかつてない規模の人道危機に見舞われる可能性があります。
さて、海外からの原材料や食料に頼る日本にとっても、飢餓や戦争といった「極度の貧困」は他人事ではありません。耕作放棄地が増え、大量の食料破棄が問題となる日本。代替肉や遺伝子組換え技術を駆使した食糧増産ではなく、むしろ自分の足元をよく確認し、現実的に地域の人たちが自らのライフライン(水、食料、燃料)をどう確保をどうすべきかをしっかり考え、行動する時だと思います。
ちょうど本日(4月10日)、「中国企業が岩国市のメガソーラー事業を買収」というニュース(https://www.youtube.com/watch?v=0v_2BDlJPPY)を知りました。電力や水道などライフラインに関わる公共インフラは市民の生活・環境の安全保障に直接関わります。私共も以前から「他国が侵略することない基盤があってこそ、国づくりと成長が可能になる」として、「日本再生への道」、森林里山再生・国土防衛をお伝えてきました(https://globalstream-news.com/post-17598/)。
戦火が拡大するウクライナでは500万人にものぼる難民や食糧難など人道危機が報じられています。そして、欧米はウクライナに武器を送り続けています。一国の安全と平和がどう崩壊していくのかを目の当たりにして、日本も真剣に自国の問題に取り組むべきかと考えます。
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