グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

どんな人たちに来てほしい?コロナ後を見据え、国力を高めるためには

 世界はコロナ禍から脱却し、制限解除後の「ウィズコロナが正常化した時代」に突入しました。5日、日本政府も外国人の団体観光客受け入れを検討していると報じられました。

 もちろん日本のホスピタル産業はインバウンド観光客を待ち望んでいます。しかし、コロナ後の時代、日本にとって本当に必要なのは、目先の海外からの団体観光客や単純労働者よりも、高度な教育を受け、生産性が高く、イノベーションを起こす「国際人材」です。長期に成長を促進する人材を日本に引き寄せて、日本の競争力を高める方が得策と思います。

 2020年3月のコロナショック以降、ロックダウンで私たちの日常生活も大きく変わりました。オンラインで会議をこなすなどテレワークが広がりました。もちろん、エッセンシャルワークなどテレワークが不可能な職種もありますが、一部の研究開発や専門性の高い分野ではテレワークを活用して生産性を高めることができます。

 テレワークのメリットには、通勤時間を削減できる、遠方の人たちともつながれるので地理的な制限がなくなる等があります。経営者であれば、日本のみならず世界中から才能のある人材にアクセスすることもできます。そして、自らの才能に磨きをかけてキャリアアップを目指す世界の人材が、コロナ後により生活しやすい環境を求めて動き出すとみられます。

 世界経済の予測で有名なOxford Economicsは、コロナ後の時代、「国際人材」がどこへ移動(移住、移民)していくかという「Talent Migration」をレポートしています。ここでTalentという意味は、高度な専門教育(大学院以上)を受け、イノベーションや技術の進歩に重要な役割を果たす仕事に就いており、将来の経済的繁栄に貢献できる人材です。どこの国へ移住しても通用するので「国際人材」と翻訳しておきます。

 Oxford Economicsはウィズコロナ後(経済が正常化した後)、「国際人材」がどこからどこへ向かうかを予想しています。その予想図は、ブルームバーグによる「Covid resilience score(コロナ耐性スコア)」とOECDによる「Migration attractiveness score(移住の引き寄せ度スコア)」を組み合わせたものです。

 まず、コロナ耐性スコアとは、死亡率、国民健康保険体制、感染者数、越境可能性など移動の自由度、経済成長率などの指標を組み合わせた指数で、ウィズコロナで安全な国のランキングを示します。ブルームバーグは53カ国を毎月調査しています。直近4月27日のランキングの上位20は以下のよう国です。ちなみに、日本34位、中国51位、ロシア52位、香港53位(最下位)です。

 また、OECDによる「Migration attractiveness score(移住の引き寄せ度スコア)」では、「国際人材」を三つのカテゴリーに分けて(高度な教育を受けた人材、起業家、大学生)、それぞれの移住先ランキングで上位10カ国を示しています。

 ちなみに、高度な教育を受けた人材が移住したい国ランキングで、日本は35カ国中25位でした。

https://www.oecd.org/newsroom/migration-policy-affects-attractiveness-of-oecd-countries-to-international-talent.htm
(注:データは2019年5月19日付でパンデミック以前のものです。)

 さて、Oxford Economicsは、コロナ後に移動の制限がなくなれば「国際人材」は下の図の左下から右上に位置する国へ移住すると予想します。

 図の右上に位置する国々(北欧、北米)は、ウィズコロナでも安全で、「国際人材」を惹きつける力が強いです。左上の国々(独、スイス、オランダ、豪など)は移住先としての魅力は高いのですが、コロナ耐性でやや問題があります。右下の国々(日本、韓国、仏など)は、安全性は高いけれど移民政策などで問題があります。

 さて、コロナ後には海外から団体観光客のみならず「国際人材」が流入するような国づくりが必要ではないでしょうか。そうしないと、日本から「国際人材」の流出が止まらなくなり、人材の流出は富の流出になり、長期にわたる「貧すれば鈍する」悪循環を断ち切れなくなる。

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