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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

Bondmaggedon

 トランプ氏が大統領に就任してからもうすぐ丸1年。ニューヨーク株式市場は連日の高値である。米国人の資産の6割ほどが株で運用されているので、株価が堅調なうちは政権の揉め事(国内政治)と経済とはデカップリング(切り離し)状態が続きそうだ。

 一方、FRBは金融緩和の出口を完全に出た。パウエル新議長の下、今年中に数回の利上げを市場は予想している。そして、この19日には再び「デットシーリング」(米国の公的債務上限)問題が迫っている。これまで議会は債務上限撤廃を認め、暫定予算が繰り返し組まれてきた。しかし、今回の移民問題でトランプ政権と対立する民主党が反対に回れば、まさかの「シャットダウン」連邦政府閉鎖となりかねない。加えて、まさかの「デフォルト」が起これば、米国債の格付けも現在の最高位から格下げされ、金融市場に大きなショックとなるだろう。

 折しも、北朝鮮問題をめぐり米中が水面下で交渉をしている中、米国債の最大保有国中国が米国債保有を圧縮すると報じた。米国債のリスクは中国に次ぐ米国債保有国の日本へも影響する。好調な株式市場を尻目に、フィナンシャル・タイムズ紙のテット記者は、「bondmaggeddon (bond 債券 + Armageddon ハルマゲドン)」と債券リスクの高まりを表現している。(FT 1/12付記事 ”Watch the bond market, not equity”)

 北朝鮮情勢は平昌オリンピック(2月9〜25日)に向けて動き出している。2月8日は朝鮮人民軍設立70周年にあたり、同軍の力を誇示する式典が予想される。軍事面の緊張と債券市場リスク(まさかの金利の急上昇)とがシンクロしたハルマゲドンとなるのか? 

ヘッジファンドニュースレター

経由 Watch the bond market, not equity

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