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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

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株価上昇が続くなか、新たな投資機会とは?

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 先週はテーパリング(量的緩和縮小)開始時期が遠のいたことで、新興国の株価が上昇しました。米国株も上昇を続けています。S&P500指数はリーマンショック直後の2009年3月に底を打ってから約3倍にまで上昇しています。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=SPX%3AIND

 じつは、株式ロング・ショートやアービトラージ系ヘッジファンドにとって、こうした右肩上がりの相場はやりにくいのです。ショートなしで相場の上昇気流に乗ったほうが儲かるからです。

 一方的な上昇相場では、絶対値収益を追求する投資家は、ショートの分リターンを減らします。現にヘッジファンドやプライベート・エクイティ(PE)などオルタナティブ運用に分散投資している米国の大学基金もまた、この1年をみるとS&P500指数よりも低い運用収益となっています。

 FT紙(10月26-27日ウィークエンド版)によれば、2012年6月からの12ヶ月の運用実績を比較すると、エール大学基金12.5%(ハーバード大学11.1%、MIT 11.3%)に対して、S&P500は 20.6%も上昇しました。

 資産運用において、エール大学は20年にわたりPEなどオルタナティブに分散投資をし、年平均13.5%の実績を上げ、基金の規模は32億ドルから208億ドル(約2兆円)と7倍近くに拡大してきました。エール大基金の規模は現在、とハーバード大基金に次ぐ大きさです。そのエール大基金のポートフォリオでは、米国株はわずか6%しか投資していません。

 今年年初、エール大基金のアロケーションについては、PEへの配分を34%から35%に、不動産20%から22%に、これまで減らして来たヘッジファンドを18%にまで増やすと報じられました。しかし、2014年のポートフォリオは、PE 31%、ヘッジファンド20%、不動産19%、外国株式11%、天然資源 8%の分散となっています。(詳しくはエール大基金のページをご覧下さい。

 http://news.yale.edu/2013/09/24/endowment-earns-125-return )

  エール大基金の成功は、ひとえに運用責任者のデイビッド・スウェンセン氏の一貫したリーダーシップと目利き力にありました。PE投資が今程一般的でない頃から優秀な運用者に投資をしてきた氏の努力が、20年かけて大きな実を結んだといえます。

 スウェンセン氏は今後のPE投資について、既に多くの投資家が参入し、かつてのような収益は期待できないと見ています。20-30年前に魅力的だった投資手法が将来も同じように魅力的なリターンを稼ぐとは限りません。PE投資がかつてのように非効率的な市場だったゆえに大きなリターンを稼いだ時代は終わったのです。

 PE市場も株式市場同様、効率化した市場として成熟した投資手法になった今、株価が下落に転じ、相場環境が悪化するときに備えて、相場と一緒に下がらない新たな投資運用手段を講じなければなりません。投資運用のチャレンジはこれからも続きます。

 エール大基金に関して日本語のレポート記事があります。ご参考まで。

http://japanplacementagent.com/blog/alternative-investments/yale-universitys-fund-management-case/

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