米国は大分裂状態 鳩派で平和主義のイエレン氏が世界を救う?!
米国の「政府閉鎖」の解除と「債務上限引き上げ」問題は、民主・共和両党がギリギリの折衝が続いています。世銀、IMF、大手投資銀行のあらゆる有力者が、この問題を解決するように呼びかけています。米国が債務不履行になるという悪夢は現実になるのでしょうか?
10月に入ってからマーケットでは「万が一」のリスクに備える動きが見られます。米国債市場では短期国債(T-bill)がリスク・フリーではなくなりつつあります。大手金融機関や企業同士の米国債を担保にした短期資金借入のレポ(Repurchase)取引、キャッシュ・マネジメントにも支障が懸念され、短期市場から資金が流出し、短期金利を押し上げています(10日付FT紙記事“Collateral crunch fear as T-bill yields leap”)。
万が一のデフォルトにかける保険ともいえるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場でも異変が起きています。1千万ユーロの米国債CDSコスト(保険料)は過去数ヶ月6千ユーロでしたが、先週水曜にはその10倍に跳ね上がっています(10日付 FT紙記事 “US fears lift default insurance market”)。
これだけみても市場の緊張はかなりのレベルに達しています。市場関係者の恐怖心が最高潮に達する頃、おそらく米国議会はオバマ大統領と何らかの妥協をして、デフォルトを回避するだろうと思います。しかし、それはその場しのぎで、民主・共和党の根本的な国家運営・統治原則に対する溝は埋まらず、危機は引き続くと思います。
共和党、特にティーパーティの人たちには、大統領が個人の私生活の上にまで大きな権限を振るうような政治を嫌う「制限政府」の原則があります。「政府閉鎖」は、オバマケアのような無制限に政府予算を支出するような「大きな政府」に対する思想闘争でもあるのです。妥協はむずかしいと思います。
しかし、いかに政治や議会が混乱しても、経済・金融を変えることはできません。マーケットを支配するのは大統領ではなくFRB議長です。2014年には初めての女性議長が誕生します。ジャネット・イエレン氏は米国の最大の危機にどう対処するのか。彼女は、女性らしく、戦争をせずに平和裏に交渉を進めることになるでしょう。