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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

タイの洪水は世界経済に打撃

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 タイの洪水の被害がすごい。報道番組「バンキシャ」によると、国土の三分の一が水浸しになっている。日本の主要メーカーはタイにアセアンでの生産基地を置き、特に自動車産業ではアセアン相互補完構想(AFTA)によってアセアン域内の関税0-5%というメリットを活用し、タイで基幹部品を製造してきた。タイはその技術力でアセアン市場の中核となってきた。タイは日本のメーカーにとって世界の製造拠点になっており、今回の被害で全世界に影響が出そうだ。

 日本は、3・11大震災でサプライチェーンが大きく傷つき、そのうえにさらにタイで打撃を受けている。やっと震災から現状復帰したところに手痛い仕打ちである。現在の被害状況から、最新設備のタイの工場は壊滅的で、その損害額は日本メーカーだけでも総計で数兆円規模になるだろう。タイでも部品供給が遅れれば、世界中で自動車の組み立てが遅れるだろう。

 知人(自動車会社幹部)は、タイに拠点を移した理由を「円高のために輸出が全く見合わなくなっている、日本での生産は国内消費分のみで、それ以外はすべて海外で生産という基本的経営方針のためだ」という。裏返せば、円高、高い法人税、高い電力料金ゆえに、国内で生産すればするほど赤字が増える。政府の政策は、国際競争力があって富を稼ぎ雇用を促進してくれる産業を潰しにかかっているとしか思えない。

 3・11の損失を受けて、知人のボーナスはすでに3割カット。加えてタイの洪水でまた所得が減らされるだろうと知人は話す。ボーナスを住宅ローンや教育費などの支払いに充てているサラリーマン家計にとって寒い冬となりそうだ。

 折しも欧州危機。中国の経済成長が減速するなか、欧州市場が縮小し中国の対欧州輸出が減り、さらに日本経済が落ち込めば、中国経済も打撃を受ける。このタイミングでのタイの洪水は世界経済に冷や水となりそうだ。

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