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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

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欧州ソブリン危機とその後を読む 

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 あっという間に9月も半ばである。例年9月から10月いっぱいまでは金融危機の時間帯である。今年も総出、欧州発金融危機はいつ起きてもおかしくない。

 ギリシャの債務不履行(デフォルト)懸念はかなり前から続いているし、今すぐにデフォルトがなくても、問題が長引けば長引くほど、市場の不安は膨らんでいく。多くの欧州の銀行がPIIGSのソブリン債を保有していることから、欧州銀行株は下げている。そして、欧州の銀行が中小企業への新規融資を減らす中、信用不安は実体経済にマイナスの影響を及ぼしている。

 欧州ソブリン債は米国のマネー・マーケットファンド(MMF)にも組み込まれている。欧州発金融危機のあおりでMMFが元本割れすれば、大きなショックが世界を駆け巡ることになる。

 欧米市場の不安感から、消去法で円が買われ、円高となっている。円高が続くかどうかは中国の動向にかかっている。

 米国の景気回復がぐずつき、失業率は高止まり、消費者の信頼感が戻らないなか、中国からの輸入は減っている。中国では労働賃金の上昇、物価の上昇などのインフレ懸念に加え、不動産バブルが破たんまぢかという際に来ている。

 香港ドルとオフショアの人民元が大量に中国に貸し付けられ、不動産投機の原資となった。不動産へ向かった投機マネーはバブル破たんとともに回収できずに、銀行にとっては不良債権と化す。日本のバブル破たん後と同じような問題が起こるだろう。しかも、はるかに大きな規模で。日本と異なるのは、香港ドルが米ドルにペッグしている点である。

 来年以降、中国の政治体制は大きな変化の時を迎える。正確にいえば、2013年1月から習近平体制が確立する。その前に、江沢民一派や残党の排除という政治闘争が強まるだろう。中国の不動産バブル破たんのタイミングは、こうした水面下での政治闘争と関わっている。

 いま、米中の国際収支を考える。米国が中国からの輸入を減らし続ければ貿易収支の面で人民元高に為替レートの調整が必要だ。しかし、中国は完全な変動相場制に移行していないため、人民元は米国から見て不当に低いままである。もうひとつ、中国の不動産バブルが破たんするシナリオを考えると、直接投資という資本収支で香港ドルが不足する。香港ドルは米ドルにペッグしているため、貿易収支と資本収支の二点から、ドル不足のために中国は外貨準備で蓄えた大量のドルを吐き出す必要に迫られるのではないか。

 私の予想では、①ユーロの崩壊は近い。ドイツなど優等国のA組とPIIGsなど負け組のB組とに分けられるだろう。②2012年まで円高基調は続く。③2013年以降、中国不動産バブルの破たんにより中国が大量のドルを必要とする。人民元の国際化はそれほど進まない。

 以上のことから、ドルは世界の基軸通貨であり続ける。金価格はどうだろうか。スイスフランが自国通貨の価値を守るための無制限の為替介入を発表した際に、スイスが保有する金を売って介入資金に充てるという憶測から金価格は下げた。国際金融危機で金価格の高騰が読まれているが、ユーロが分裂する際には自国通貨を確保するために、大量の金が放出される可能性もある。

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