欧米の二番底、新興国の景気減速
米国債のデフォルト(債務不履行)は回避されたが、巨額の財政赤字問題に決着がついたわけではない。 連邦政府、州政府、そして市町村といったコミュニティのレベルでも、今後はコストカットが予想される。
テレビで、アフガニスタンの米軍兵士たちが自分たちの給与が支払われるのか、退役しても恩給を受け取れるのかといった不安を訴えている様子が映し出された。連邦政府による州政府への補助金カットが増加するなか、地方政府のレベルでも事態は悪化するだろう。
ブルンバーグ・グローバル・ファイナンス(BGF 8月3日付け)によると、東部ロードアイランド州セントラルフォールズ市(人口1万8千人)が破産法9条の適用を申請した。警察や消防など公務員退職者の年金給付の履行が困難となり、州当局者が年金給付減額を申し入れたが合意が得られずに、破産法適用となった。
米国の場合、地方自治体の破産は公共サービスの質の低下でとどまらず、市民の日常の安全に直接かかわってくる。犯罪が増えればコミュニティそのものが機能不全となり、健全な米国社会の礎を失うことになる。草の根からの危機で、深刻な事態である。
オバマ大統領は、リーマンショック後の天文学的な赤字を正当化するために、デフォルトがおこるとリーマンショックよりもすごい金融危機が起こる、ハルマゲドンで世界恐慌だぞといわんばかりに、デフォルトへの恐怖をあおった。しかし、景気の二番底、米国のコミュニティ・レベルでの経済的な苦難はこれからで、立ち直りには少なくても2-3年かかるかもしれない。
巨額の財政赤字を抱えるギリシャ、スペイン、イタリア、ポルトガルにとっても事態は米国と同じく深刻である。大手機関投資家は、欧州債務危機は収まっていないとみている。ブルンバーグによれば、メリルはPIIGs国債への投資を避けている。
米、PIIGsそして日本の国債もまた、確実に格下げに向かうだろう。日本にとってはギリシャや米国の債務問題は他人事ではない。
一方、新興国では金利が上昇している。ブラジルでは中央銀行がインフレ抑制のために利上げを続けてきたが、政府が為替取引に新たな課税を行うと発表したことが混乱を招き、ブラジル国債が大幅下落した。また、インドではインフレ懸念から追加の利上げ方針を発表した。インドの経済成長は減速するとみられるが、それでも8%台の成長率だ(BFG 8月3日付け)。
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