グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

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日本を覆う三つの大危機

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本日はニューヨーク時代からの旧友、森田隆大さんとランチ。私たちは、日本はすでに危機的とみている。日本を覆う3つの危機について、以下整理して述べる。
① 年金基金の切り崩し
年金積立金管理運用独立行政法人(通称GPIF)は、約116兆円の運用資産残高を有する世界最大級の公的年金金である。団塊の世代が年金生活に入り、今後は毎年9兆円近くの資産を受給に充てるため切り崩していく。2020年にはGPIFの資産残高は60兆円になると予想される。
あと8年で半減するというわけだ。GPIFの資産運用はあまりにも投資収益をうまないので、資産残高が増えていくとは思えない。毎年これだけの資産を売るとなれば、保有する日本株は売り圧力を受け、当然株価も下がるだろう。日本国債についても同様だ。銀行や年金などの金融機関がこれ以上国債を買い支えれば、本体自体が息切れてしまう。日銀が国債を引き受けるしかない。これは円安の圧力になる。
② 日本株式会社の終焉
最近、ソニーやシャープ、パナソニック、トヨタなど日本を代表する大企業の競争力低下が目につく。シャープにいたっては台湾企業が最大株主になった。外資が大株主になると日本の銀行はこうした企業には融資をしなくなる。台湾企業にすがるしかなかったシャープは気の毒だった。いやシャープの下請け企業はこれからもっと気の毒だ。
シャープやパナソニックなど大手企業の下には部品メーカーがぶら下がっている。親会社である完成品メーカーが行き先不安になれば、当然下請企業にも大きな影響が出てくる。事態は悪化しており、中小企業にとっての資金調達も以前にも増して困難になってくる。
さらに、大手家電メーカーには量販店を始め小売網が整備されている。シャープなど大手がこけると全国の小売店にも影響がでてくる。
シャープが亀山を投げたように、「プロジェクトX」で輝かしかったはずの日本株式会社は、自らのブランドを捨てようとしている。日本株式会社全体がこれからどうやって生きていくのか明確な指針がないのが現状だ。日本には次世代の成長の柱となる技術がありながら、事業化に至るまで育成できていない。倒産したエルピーダメモリを救うのに数千億円をつぎ込むのであれば、小さなベンチャー企業に小さなシードマネーを出して育成するほうがよほどましだ。
③ 資金調達コストの上昇
このところ日本国債格下げの可能性が話題になっている。日本国債がAAからAに格下げになれば、日本で発行される地方債、社債も大きな影響を受ける。AA格の企業であっても国債以上の格付けで社債が発行できなくなる。つまり、日本に本社を置く優良企業にとっては日本国債がシーリングになって、資金の調達コストが上がってしまう。これでは日本籍企業にとっては不利になる。グローバルに競争力のある企業であれば日本を見捨てていく可能性が高まっている。
それでなくても、海外に販路を求めて日本を脱出する企業は増えるだろうから、日本国内での税収はますます減り、消費税や相続税などの税率が上がり庶民の生活は苦しくなるだろう。当然経済も縮こまるので成長は見込めない。ばらまきの赤字国債でなんとかしのぐといった悪循環にすでに陥っている。
以上の危機的な現実を変えてゆくには、相当のエネルギーをもって改革を断行するしかない。公的セクターの再編、コストカット、赤字削減がまず必要で、出血を止めなくてはならない。小さな政府、公的資金の効率的な運用、そして、まともなリーダーシップがなくてはならない。そのためには、戦後の日本の復興のときのように、旧体制をひきずった支配層をパージし、若い世代に入れ替えるのが正解だろう。

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