ヒュームの「正しいお金の守り方」
先日、大学院時代の仲間と食事会をした。私は友人たちに出たばかりの新書『正しいお金の守り方』をプレゼントした。すると、坂本達也教授から『ヒューム、希望の懐疑主義:ある社会科学の誕生』(慶応義塾大学出版会)をプレゼントされた。ヒューム自身の肖像が表紙になった美しい装丁の本だ。ヒュームの目には啓蒙も輝きがあり、本の中身を象徴している。
30年くらい前に私たちは共通の教授たちから学問を学び、坂本氏は社会思想史の分野で素晴らしい業績を残しつつある。
二人の著作を並べて、もう一人の教授が「資本主義の基本的理念を作りだした政治経済学者のアダム・スミス、経済社会思想家のデイビッド・ヒュームは、当時どうやってお金を守っていたのだろうか」と発言し、私たちの会話は18世紀半ば以降の知識人たちの家計経済に及んだ。
アダム・スミスは教授職と著作で稼ぎ、お母さんと一緒に過ごしたので堅実な学者生活だったと想像する。坂本教授によると、ヒュームは年収2000ポンドだった。当時の平均所得がだいたい500ポンドだから、独身貴族として研究と思索に没頭できただろう。
18世紀の英国では、貴族の子弟の家庭教師をすると生涯年金がもらえる制度があったという。家庭教師の期間は数年でも年金は支給された。給付額はそれほど多くはないが、家庭教師を数件掛け持ちすれば、合計で十分な金額になった。当時の特権階級が支給する生涯年金制度のおかげで、ヒュームの一生は保障され、新たな社会科学の思想を生みだすことになった。ヒュームはお金に守られたと言える。
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